チーム最多の12勝を挙げた阪神秋山拓巳投手(26)が、未知の世界に飛び込む。精密機械のようなコントロールを誇りブレークした右腕が、アンテナを張り巡らせて見つけた虎の穴。今オフに五輪戦士らが通う静岡・浜松市内にあるスポーツジム「アローズ」の門をたたく予定だ。「スポーツは科学だ」をコンセプトとするスポーツジム。秋山は「自分の知らない能力を引き出せたら。話を聞きに行こうと思っています」と、その意図を明かした。

 同ジムはサッカーJ1磐田、フットサルの名古屋オーシャンズなど数多くのプロチームを指導。同ジムの山下代表が北京五輪の女子体操チームをサポートしていたこともあり、五輪選手も多く通う。最近ではジャーナリストの池上彰氏が、地元テレビ局の番組で施設を訪問し、トレーニングを見学。ニュース解説の達人も注目するほどだ。

 このスポーツジムの特徴の1つが、人間ドックのスポーツ版と言われる「スポーツドック」を受けられること。そこにはアスリートにとって重要な動体視力や周辺視などの目の能力を評価するプログラムもあり、秋山は「視覚からの情報が(全体の)7割というので」と効果を期待する。

 ジム関係者は「能力の開発を総合的にサポートしていきます」と、秋山の訪問を心待ちにする。プロ8年目の今季は25試合に登板して12勝6敗、防御率2・99。シーズン16四球という数字は、規定投球回到達者のなかでも極端に少なかった。針の穴を通すようなコントロールにさらに磨きがかかるのか。科学の目で丸裸にされたアッキャマンが、進化を遂げる。【桝井聡】