ここぞの一打にかける。巨人阿部慎之助内野手(39)が代打で開幕を迎える。けが以外で開幕スタメンを外れるのは自身初となる。30日からの開幕カード阪神戦(東京ドーム)に向け26日、本拠地で全体練習に参加。開幕スタメンは21歳の岡本に譲り渡し、代打待機となる見込みだが、チームの勝利のためにプレーする姿勢を強調した。蓄積されたベテランの経験、力が勝負どころで発揮される。

 開幕までのチーム内競争は幕引きした。V奪還へ役割は言わずもがなで分かっている。プロ18年目を迎える阿部は門出の一戦での立ち位置を理解した上で調整を進めた。「やるべきことをやる。チームが勝つために求められてることをやる。それしかない」。打撃ケージでは、ライナー性の強い打球を意識した。一塁の守備位置では、若手内野陣からの送球を、声を張り上げて盛り上げながら捕球した。

 オープン戦は不振に苦しんだ。14試合に出場し、阿部史上ワーストの打率1割7厘。ライバル岡本を大きく下回り「開幕までに調子を上げられなかった。自分が悪い」と潔く認めた。ただ、球界屈指の好打者が戦力であることには変わりない。スタメンを外れても、12球団最強の代打としての可能性を秘める。自身の通算代打成績は53打数11安打2本塁打で打率2割8厘も、好機で相手バッテリーに与える威圧感は数字を度外視して脅威になる。

 「今までとは違う部分もあって難しさはある。そんなに簡単にいくとは思ってない。二岡コーチにもいろいろと聞いて準備する」とやるべきことをやって「代打阿部」のコールを待つ。

 一方で“代打の神様”に甘んじるつもりはない。143試合の長丁場の戦い方は熟知している。「若い時と同じで1試合でも多く1打席でも多く打席に立つことは目標の1つ。自分がベテランになって若い選手との競争を刺激にしなければいけないし、それが力になる」。開幕と同時に他球団との勝負が始まる。だからといってチーム内の競争が終わるわけではない。【為田聡史】