静岡産大エース鈴木彩隼(4年)が、全日本大学野球連盟にプロ志望届を今月13日に提出することを明言した。最速147キロ右腕で、10月25日のドラフト会議で指名されれば、同校出身初のプロ野球選手になる。決意を固めた鈴木彩はこの日、東海大海洋を相手に6安打2失点で完投。7-2での勝利に貢献した。

9回裏2死、最後の打者を二ゴロに打ち取ると、静岡産大の鈴木彩は、安堵(あんど)の表情を浮かべた。本調子ではないながらも、強打の東海大海洋を相手に完投勝利。プロ注目の実力を披露し、試合後、13日にプロ志望届を提出することを明かした。

「親にその日にしろと言われたので」

13日は大安。息子の幸運を祈る親心を受け入れた。初めて提出日を明かしたこの日、中日投手の兄翔太(23)が今季初登板を果たした。セ・リーグ首位を独走する広島相手に、5回2失点。勝ち星はつかなかったが、4-3の勝利に貢献した。13年ドラフト会議で中日から1位指名。聖隷クリストファーからプロ入りして5年目の兄に、鈴木彩は刺激を受け続けてきた。「兄の存在があったから、プロを身近に感じています」。

萩原輝久監督(53)によると、10球団が鈴木を視察しており、「あいさつもされた」という。事実、試合会場にはこれまで、中日、巨人のスカウトが確認されている。指名されれば、静岡産大からは初のプロ野球選手誕生。だが、運命の日まで1カ月以上あり、本人は今、仲間たちと悲願のリーグ優勝を本気で目指している。この日は序盤、直球にキレがなく、4回までに2失点。それでも5回以降は立ち直り、イニングボードに0を並べた。「変化球でカウントを稼げたので、打たせて取れました」。

5点のリードで、8回終了後には萩原監督から交代するかを問われたが、「最後まで投げます」と即答した。「最後のシーズンなので完投したかった。優勝して東海王座決定戦に出たいです」。リーグ最終節の10月7日まで、鈴木彩はチームと自身の目標に向かって走り続ける。【河合萌彦】

◆鈴木彩隼(すずき・あやと)1996年(平8)7月16日、浜松市生まれ。北浜小1年から浜北スモールジャイアンツで野球を始める。北浜東部中時代は、浜松シニアに所属して遊撃手。浜北西では2年秋からエース。右投げ右打ち。180センチ、75キロ。