タナキクマルで復調! 広島緒方孝市監督(49)は1番に田中広輔内野手(29)を起用し、約1カ月ぶりにタナキクマルを上位に並べた。前日に続く雨中の一戦はセンターラインを形成する3人が守りを固め、反撃体勢をつくった。3選手に引っ張られるように、今季37度目の逆転勝利。ヤクルトの試合が中止となったため最短Vは23日にずれたが、マジックを3に減らした。

ぬれた芝が広島に味方した。7回。1点差から同点に追いついた直後の松山の遊撃へのゴロが芝の上を滑るように走り、代わったばかりの植田のグラブをはじいた。打球が左翼前に転がる間に、二塁走者丸が三塁を蹴って本塁へ。決勝点となった。

緒方監督は「選手にとっては厳しいコンディション。昨日同様中断あり、最悪のグラウンドコンディションの中でプレーが終わったのが一番ホッとするところ。ぬれた芝、しかもぬかるんだ状態。そこで集中してやってくれている選手が本当に頑張ってくれた」とナインをたたえた。

前夜と同じように断続的に雨が降る耐久戦で、指揮官が常々口にする「守り勝つ野球」で白星をもぎ取った。前日は阪神を上回る2失策。中村祐の悪送球が結果的に試合を分ける失点となった。この日は阪神の1失策が決勝点となる適時失策。一方、広島は無失策。守備陣が試合を引き締めた。

堅守の中心にはセンターラインを形成するタナキクマルがいる。指揮官も「絶対的なレギュラーで欠かせない存在」と信頼を寄せる。そして田中を8月17日以来となる1番で起用。3回までに2打席連続安打で、4月25、26日DeNA戦以来の2戦連続複数安打で応えた。5回はチーム初得点となる犠飛で反撃ののろしを上げた。

打順を下げても、田中は安定した守備を続けてきた。「守りからリズムをつくるのは当然。ずっとやっていること。経験しているので、変わりない」。この日もぬれた芝の影響を感じさせないフィールディングと送球で投手陣に安心感を与えた。失策は昨年16から、今季130試合時点で7と安定感も増した。

前夜の11連戦初戦は日付をまたぐ消耗戦となった。緒方監督は夜中の1時13分に球場を後にしたが、チーム一番乗りの午前9時30分に球場入り。戦いのプランを練り、タナキクマル復活が起爆剤となった。マジック3。球団初の3連覇は目前だ。【前原淳】