今季初登板の楽天今野龍太投手(24)が、4-8の5回から2番手で力投し、劇的なサヨナラ勝利を呼んだ。5回から登板し、3回2安打3奪三振、無失点の好投。小気味のいい投球でチームにリズムをもたらし、その後のブセニッツ、森原、松井、宋への無失点リレーの立役者となった。楽天は劇的勝利で貯金を1とした。

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今野が今年にかける強い思いを結果で証明した。0-8の劣勢から4回裏にブラッシュの満塁本塁打が飛び出し、追撃ムードがわずかながら漂い始めた5回表から登場。今季1軍初登板だったが、生き残りをアピールするためには、戦況など関係なかった。4回表、先頭の王に二塁内野安打を許したが、打ちとった打球だった。気落ちすることなく渡辺諒を空振り三振、石井一をこの日最速の146 キロ 直球で連続三振に仕留めた。3回を2安打に抑え、延長11回サヨナラ勝利を呼ぶ快投。平石監督も、「テンポよく、ボールもよかったし、相手打者を差し込んでいた。抑えたこともそうですが、リズムよく放っていたので、攻撃のリズムも生まれたんだと思う。本当によくやってくれた」と手放しでほめた。

脱力投法で復活のきっかけをつかんだ。8日のイースタンリーグDeNA戦で先発し7回3安打1失点と好投。「力を入れずに投げることができた」。入団当初は最速153 キロ の直球が武器。この日の最速は146 キロ だったが、110 キロ 台のカーブを有効に使った。6回にも先頭中島卓を右前打で出すも、西川、大田泰、近藤の上位打線を打ちとり、7回には主砲中田も遊ゴロに仕留めてみせた。「毎年速いボールばかりで遅いボールを投げられずにきたけど、今年は緩急をつけられるようになった」と成長を実感している。

無名の岩出山高3年夏の宮城県大会でノーヒットノーランを記録し、13年のドラフト9位指名を受けた。その素材にほれ込んだ故星野氏が監督として最後に指名(育成を除く)した選手。右ひざ半月板損傷で16年は育成契約となったが、17年4月に支配下登録に復帰した。同年6月に高校時代の同級生と結婚。「もう自分1人じゃないんで結果を残さないと」と自覚も芽生えてきた。昨年12月の披露宴には、お笑い芸人サンドウィッチマンの2人も多忙な中、祝福に駆けつけてくれた。「ずっと心配してくれていたので、今年こそは本当に活躍したい」。たくましくなった「岩出山の星」が、6年目での開花を期する。【野上伸悟】