日刊スポーツ評論家陣が語る「野球塾」は、勝負強い1番打者として85年の阪神日本一に貢献し、監督も務めた真弓明信氏(65)の登場です。先日初めて代打を送られるなど、不調の阪神近本光司外野手(24)に、「空振りのススメ」を説きました。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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ペナントレースはここからが勝負どころだ。阪神にとって、前半戦締めくくりの9連戦は優勝争いに絡むことができるか否かの重要なゲームになる。

大きな期待を背負っているのは4番大山だ。先日の評論で「反応力に磨きをかけてほしい」と述べたが、“夏の大山”に長打が出てくれば得点力は必ず上がる。

ちょっと気になっているのは近本だ。開幕からトップバッターとしての働きをしてきた。疲労も蓄積する中でよくやっている。しかし、5月に3割4分あった打率は2割6分4厘まで下がってきた。

極端にフォームが崩れているとは思わない。打ちたいという気持ちが強過ぎて凡打になっているように見える。狙い球、それに実際に打っているボールが、自分のイメージと違っているのではないだろうか。

積極的に打ちにいくのは構わない。近本はそういうタイプのバッターだろう。でも1つだけ言っておくと、打ちにいっても、狙い球でなければ、あえて空振りすることも考えていい。

追い込まれる前のカウントで、ストレートを待っていたところに、スライダー、フォークなど狙っていない球がきたとする。その球に無理やりタイミングを合わせようとするから、その結果、凡打になる。

もちろんバットの芯に当たれば、ヒットになる可能性は大きいかもしれない。でも、打ちにいっても、当てにいくのではなく、狙い球でなければ空振りしたらいい。

それができれば相手投手に同じ球を投げにくくするし、打者としても狙いを定めやすくなる。器用な方だから、狙い球でないボールに空振りすることができるはず。きっかけをつかんで乗り切ってほしい。