腹をくくって、セットアッパーの座を不動のものにする。楽天森原康平投手(27)が、0-0のしびれる8回を無失点で切り抜けた。直後に浅村が犠飛で決勝点を挙げ、今季2勝目。チームは1カ月ぶりとなる3連勝を飾り、3位に浮上。首位ソフトバンクに4ゲーム差まで迫ってきた。

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森原は屈辱を糧にしている。2年目の昨季、9月に2試合抑えとして登板したが、いずれも失敗した。「みんながつないでくれたマウンドで打たれるわけにはいかない、と。意識した瞬間にガチガチに力んでしまった」。チームの敗戦に直結し、申し訳ない思いがあふれた。ただ、分かったことがある。「『やってやろう』が強すぎると良くない。1年間投げ続ければ、失敗することは、絶対にある。それをどれだけ少なくできるか」。肝が据わった。

0-0の8回。かつての自分なら固まってしまったかもしれない、しびれる場面だ。難なく先頭を打ち取った後、松田宣に粘られ四球を与えても動じない。釜元、明石を連続三振。最後は代名詞ともいえる力感のない腕の振りから149キロを外角低めにズバッと決め、静かに拳を握った。「持っている以上のものは出せない。1球1球、できることを冷静にやる」。その積み重ねが、6月12日のヤクルト戦から14試合連続無失点という結果に表れている。

趣味の読書ではビジネス本など幅広いジャンルに目を通す。「いろんな人の本を読むと、いろんな引き出しが生まれる。『悩むのは3分まで。それ以上は時間の無駄』とか勉強になる言葉も結構ある。ホリエモンさんとかも、めちゃくちゃ本出してるんですよ」。グラウンドでの成功や失敗はもちろん、移動中の時間に至るまで、森原はセットアッパーとして日々成長している。【亀山泰宏】