ソフトバンクが執念の勝利で、連敗を「3」で止めた。8回に代走の周東佑京内野手(23)が俊足を生かしチャンスを拡大。中村晃外野手(29)が決勝の犠飛を放ち、オリックスに競り勝った。快勝した西武は優勝へのマジックを「5」に減らしたが、一丸野球で最後までレオの背中を追いかける

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工藤監督は迷わず切り札を送った。同点の8回1死。四球を選んだグラシアルに代走周東を起用。「今日は盗塁は厳しそうだったんで打者に楽に打ってもらえるように」。控えながらチームトップ24盗塁の俊足が、経験豊富なオリックス増井を揺さぶった。内川は3球目の直球をとらえ、ライナーで中前に運んだ。一、三塁にチャンス拡大。続く7番中村晃がフォークをすくい上げ、右翼へ決勝の犠飛を放った。「1点を取れば。ここしかない。何とかバットに当てれば」。粘るオリックスにチーム一丸で競り勝った。

3連敗で迎えたこの日、試合前に工藤監督から野手へ「今日はみんなでつないでいこう」と改めて伝えた。2回無死二塁では、内川が二ゴロで三塁に進めるチーム打撃で松田宣の先制打へつなげた。3回は犠飛と相手野選で2点を追加。リーグトップ176本塁打の長打力に依存せず、しぶとく、相手のミスを逃さず点を重ねていった。勝利につながる走塁を見せた周東は「スタートは切っていない。余裕で(三塁に)行けると思った」と振り返る。工藤監督も「彼しかできないこと。よく走ってくれた」とたたえた。

この日も試合中に首位西武が勝った。直接対決がない状況で、我慢比べが続く。中村晃は「全部勝たないといけない。今日の勝利は大きい。負けたら絶体絶命なので」とナインの思いを代弁した。この日の勝利で6年連続のCS進出が決定。だが、あくまで目標は2年ぶりのリーグV奪回からの日本一。残りは7試合、本拠地では19日からの日本ハム2連戦が最後となる。工藤監督は「とにかく一戦、一戦全力で」と力を込めた。逆転で優勝のゴールテープを切るまで勝ち続ける。【石橋隆雄】