防御率、勝利数だけではこの投手の真価は分からないだろう。阪神高橋遥人投手(23)が2年目の今季、質の高い投球を披露した。3勝9敗、防御率3・78は好成績と映らないが、米国流のデータ指標セイバーメトリクスで見ると評価は一変。「FIP」という指標では両リーグ3位に入るなど、今季15勝の巨人山口、13勝のDeNA今永に引けをとらない数字を残した。

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守備の影響を除いた「仮想防御率」のFIPを見ると、今季100投球回以上の投手で3位だったのが高橋遥。防御率は3・78だが、投手そのものの実力として評価される奪三振、与四死球、被本塁打といった項目が優れていた。

奪三振率の高さに目がいく。千賀、種市に次ぐ数字でセ・リーグ奪三振王の山口を上回りリーグ唯一の10個台だ。ゴロを打たせる投球から被本塁打率も低く、与四死球率は20位ではあるがリーグ平均(3・68)は上回っている。3勝の投手とは思えない投球内容だ。

3勝に終わったのは援護点の影響が大きい。平均援護点は100回以上投げた投手で最低の2・05点。リーグトップ山口の3分の1しか援護がなかった。阪神では西が3・96(16位)青柳が3・81(13位)だから、2人ほどの援護があればもっと勝てたはずだ。

6月には視察に訪れた侍ジャパンの稲葉監督から「候補の中でもゴロアウトが取れる投手。長打を打たれないというのは、非常に魅力的」。稲葉監督にも評価された投手本来の実力の高さは、しっかりと数字にも表れていた。【多田周平】