“北の侍”が、北の大地に監督の参謀役として帰還する。日本ハムは9日、球団OBで今季まで中日2軍監督を務めていた小笠原道大氏(45)が、1軍ヘッド兼打撃コーチに就任すると発表した。

10日午後に札幌市内で記者会見を開く。ヘッド職は、12~15年に務めた阿井英二郎氏以来の復活で、今季5位からの巻き返しを狙う栗山英樹監督(58)のサポートが期待されている。

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かつて勝負強い打撃で北海道を熱狂させた“ガッツ”が、打撃の伝道師として北海道へ戻ってくる。日本ハムは9日、球団OBで前中日2軍監督の小笠原氏が、1軍ヘッド兼打撃コーチに決まったと正式に発表した。

ヘッド職は15年阿井氏以来の復活となる。06年オフにフリーエージェント(FA)権を行使し、巨人へ移籍してから14年。この日、札幌市内の球団事務所で報道陣に対応した吉村浩ゼネラルマネジャー(GM)は「中日で4年間、2軍監督をされていて、その姿をずっと見てきた。統率力だったり、チームにとってもそういう存在が必要」。現役引退後、中日2軍監督として積み上げた指導実績を最大級に評価した。

栗山新体制の目玉と言える。吉村GMは、2つの大きな役割を新コーチに期待した。1つ目はヘッドコーチ。「今季はファイターズとして、やるべき野球や戦い方など、ベンチワークを含めて徹底されていない部分があった。選手とベンチ、スタッフを含めての一体感が不足していた。監督をサポートする役割が必要」と、ヘッド職復活に至った考えを説明した。

2つ目は、打撃コーチとしてのスラッガー育成だ。90年代後半から“ビッグバン打線”の中心として数々の打撃タイトルを手にした左打者で、実績は申し分ない。吉村GMは「長打力をはじめ、打撃全般が今季の課題だった」と、リーグ最少の93本塁打に終わった攻撃陣に触れ「(小笠原氏は)一流の指導者。打撃は言うまでもない。技術に関しても、すごい人。選手への影響力も、もちろんあると思っている」。同じ左打者の清宮ら、若手長距離砲の育成に期待した。

早ければ、今月下旬の秋季キャンプからチームの指導にあたる見込み。日本一を知る球団のレジェンドが、古巣のV奪回に一肌脱ぐ。【中島宙恵】