<SMBC日本シリーズ2019:巨人3-4ソフトバンク>◇第4戦◇23日◇東京ドーム

ソフトバンク内川聖一内野手(37)が日刊スポーツに手記を寄せた。工藤監督就任時の15年から「主将」を任されていたが、今季はその肩書が外れた中で3年ぶりにフルシーズン、レギュラーで出続けた。苦しんだ今季の思いを明かした。

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また新しい日本一を経験させてもらった。今季は「主将」から外れてのシーズンだった。正直、今も完全には受け止めきれていない。やっぱり「C」マークがある気持ちとない気持ちは全然違う。自分の中の気持ちの引き締まり方が違う。ほかに誰がつけるわけではなく、なくなっていることに、寂しさはあった。自分の中でそれをつけているんだという責任感みたいなものを感じながらやっていたので。

過去2年間ケガして穴をあけながらやってきた。今年は絶対に穴をあけないぞと思って、シーズン通して出場したが、打率2割5分6厘。今まで当たり前に打ってきた立場からすると、数字に対する物足りなさはすごく感じている。

CSファイナル第1戦では代打に長谷川勇を送られた。クソッと思った。選手として、そう思わないとウソだと思うし、そう思わないのであればもう辞めた方がいいと思う。でも、ハセだったから平常心を保てた。ハセも右足首を負傷した後はずっときつい思いをしている。そういうのを見せないけど、やはり本人の中ではすごい葛藤もあったと思うし、今年のキャンプでとことんバットを振っている姿を見ていたから、託せた。打ってくれたからまたこうやって日本一というところを喜び合える。

シーズン後半、精神的にいっぱいいっぱいになっていた時だった。マイナス思考の人間なので、ああ、もう、ちょっとしんどいな、っていう時に、長女が絵を描いてくれた。僕と妻とこども3人の家族の絵を描いて寝室に置いててくれた。あの時はうれしかった。ああ、子どもがこんな気持ちになるまで、俺も野球を頑張れているんだなと。長女と長男は「野球見たい」って言ってくれるから、うれしいなと思うし、妻はしっかりその間、今年2月に生まれた3人目(次男)の子育てを頑張ってくれている。その絵は今もずっと寝室に飾っている。

数字が出ていないから試合に出ていることが支えになったところはある。今まで守備で貢献というのはほぼなかった。基本的には、ただ守っているだけという感じだった。そこがチームの輪のなかで、自分が守備で役に立っている(笑い)というのは、ちょっと意外だったが、シーズンを失策0で終わってやろうという気持ちは当然あった。

CSが始まる前のチームの雰囲気では、今年は負けるなと感じたが、CSファースト初戦の楽天戦に負けて後がなくなった状態から、チームが変わった。やっぱりこのチームは経験がある。

また来シーズンが始まる。根本的に打撃で生きてきた人間なんで。打撃でもう1回という思いは正直ある。自分の立ち位置を自分で確保しないといけない。それをもう1回、自分で取りにいかないといけないんだなと思うと苦しいし、きついことはじまるなと思うけど、クソッと思っているうちは、まだやれるのかなと思う。(ソフトバンク内野手)