左のエース道まい進だ! 2年目の阪神高橋遥人(24)が14日、高知・安芸の秋季キャンプのブルペンで「実戦モード」に入った。弾道測定器「トラックマン」で新球のカーブ、チェンジアップの球速を測定しながら習得を進め、配球を意識するように球種とコースを投げ分けて101球。実戦さながらの姿を矢野燿大監督(50)に高く評価された。キャンプを訪問した阪神OB会長の川藤幸三氏(70)からは来季のキーマンにまで指名された。

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「インコースのストレート行きます!」「ストライクのカーブ行きます!」。ブルペンに高橋遥の声が響き続けた。終盤はコース、球種も1球ずつ細かく指定。左、右、左…立たせる打者の位置も変えた。計101球の投げ込みは、実戦さながらの光景だった。

左腕の高い意識を一番に認めたのは、矢野監督だった。「良かったよ。やろうとしていることが、こっちにもしっかり見えてくる。(ブルペンで)インコースに真っすぐを投げて次にカーブを投げたりだとか。試合に近い状況で今日なんかもやっている」。

今季は18戦に先発し3勝9敗。高橋遥はさらなる成長の必要性を自覚する。「緩急を一番の目的にしています」。今キャンプでは、山本昌臨時コーチ(54)の指導も仰ぎながら、新球チェンジアップとカーブの習得に励む日々。この日のブルペンでも半分以上を2球種に費やした。さらに、弾道測定器「トラックマン」も使い球速を細かく記録。「数字が出た方が分かりやすい。腕が緩んでいる時に、もっと腕を振ろうとして球速が出たりしたらすぐに分かる」。高橋遥が持つ最速150キロ超の直球に対し、カーブは107~109キロ、チェンジアップは128~130キロを計測。それでも、求めるものはさらに高い。最終形は、直球と同じ腕の振りから球速差のある変化球を投じること。直球を投げた直後にカーブを投じるなど、腕の振りを意識しながら投げ込みを続けた。

「投げ方が違ったら駄目なので、ビデオを見ながら近づけていきたい」。まだまだ満足いかない様子だが、指導する山本臨時コーチは「この秋からやり始めて、カーブとチェンジアップが非常にコントロールいい。器用だなと思います」と舌を巻く。

この日は川藤OB会長がキャンプを訪問。高橋遥の投球を捕手の後方から見守り「どこまであいつが成長するか。来年のタイガースの一番のポイントを握るんちゃうかなと思って。2ケタ? そりゃそう、求められる」と、来季のキーマンに指名した。周囲の期待を背負いながら、左のエース道を突き進む。【磯綾乃】