阪神北條史也がMVP級の存在感で、秋季キャンプを終えた。

「『振ることと打撃をもっとレベルアップしたい』というテーマでキャンプに入った。自分で追い込めて、できたと思う」。

矢野監督に提出した課題リポートには、練習の割合を「打撃8・守備2」と設定。試合に出るため、打撃強化を最優先にした。ヒットゾーンを広げるため、右方向への意識を徹底的に植え付けた。守備でも、今季失策の約半数を占めた送球に重きを置き、効率よく取り組んだ。その自主性を指揮官も高く評価した。

成果は結果としても現れた。17日の紅白戦では同期入団の藤浪から、しぶとく右前適時打。熾烈(しれつ)な内野のポジション争いの中でも、ライバルへの意識より自分と向き合った。「自分がレベルアップしないと試合に出られないので。(キャンプ中は)自分のことをもっと、という感じでした」。

17年、19年の春季キャンプMVPとキャンプでは輝く男も、シーズンでの規定打席到達はまだない。「オフがすごく大事な期間になると思う。追い込んできたものを、もったいないとならないように継続して、自分でしっかりやっていきたい」。悲願のレギュラー奪取へ-。こんがりと日焼けして冬を迎える。【奥田隼人】