虎のドラフト1位が福留、由伸を超えた! 阪神近本光司外野手(25)が6日、兵庫・西宮市の球団事務所で契約交渉を行い、3000万アップの年俸4500万円で更改。新人野手では史上最高の昇給額となった。会見では第1子となる長女が7月に誕生していたことも明かし、妻への太っ腹プレゼントも約束。父としての覚悟を胸に、来季の目標に「2年連続盗塁王」を掲げて、チームをけん引していく。(金額は推定)

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近本が球界新人野手の年俸でも「新人王」になった。無数のフラッシュに照らされ、グレーのスーツにバラ色のネクタイ姿で会見場入り。緊張のまま終わった初体験の契約交渉は、大満足の1発サイン。3000万円アップの年俸4500万。98年高橋(巨人)、99年福留(中日)らの2900万円増を抜き、新人野手最高の昇給額を勝ち取った。「素直にうれしいです」と自然と笑みがこぼれた。

プロ1年目は最高峰の評価にふさわしい活躍だった。「1年間しっかり、1軍に帯同できたということが自分の中では一番良かった」。36盗塁で盗塁王を獲得し、長嶋超えとなるリーグ新人最多159安打を記録。142試合に出場して打率2割7分1厘、9本塁打、42打点。応援してくれたファンにも「プレーで返していきたい」と話す。地元淡路島などへの社会貢献活動も熟考中だ。

野球以外でもうれしい知らせを“公開”した。シーズン中の7月に第1子となる長女が誕生していたことを明かした。「家族も増え、自分の仕事を果たさないといけないという責任感も芽生えた」。18年3月に結婚し、プロ入り前から支えられた未夢(みゆ)夫人には「一緒にいる時間も少なくなって、つらい部分もあったと思うけど、しっかりそういうところを見せずによく頑張ってくれた。よく耐えてくれたなと思います」と感謝。大幅昇給で、太っ腹なプレゼントも考えている。子育てに必要な買い物で満足しているという未夢夫人に「妻の好きな買い物に行って、好きなものを買ってもらいたい。(金額の上限は?)なしです。そういうところはしっかりしてるので」と、出血大サービスを約束した。

全試合出場を目指す来季へ「2年連続の盗塁王」を目標に掲げた。愛娘の記憶に「父がプロ野球選手」という記憶が残るよう「ずっと思い出として残ってもらえるくらい、その年齢まで野球はやりたい」と、パパの誓いも立てた。「しっかり1番(打者)として、自分の仕事、良さをすり合わせていきながら、チームをしっかり引っ張っていきたい」。2年目のジンクスを吹き飛ばし、背番号5が、来季も矢野阪神をけん引する。【奥田隼人】

★阪神近本 飛躍の1年目

▼開幕スタメン&プロ初安打初打点 3月29日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)。「2番中堅」で先発出場し、1番木浪と球団史上初の新人1、2番コンビを組んだ。6回の第3打席に右中間へ適時三塁打を放ち、プロ初安打初打点を記録。▼球団新人記録の13試合連続安打 5月2日広島戦(甲子園)。3回の第2打席に左翼線へ二塁打を放ち、01年赤星の記録を更新。

▼球宴で新人史上初の初回先頭打者本塁打&サイクル安打 7月13日「マイナビオールスター2019」第2戦(甲子園)。「1番中堅」で先発出場すると、第1打席に左中間へ先頭打者弾。以降の打席は右翼線二塁打、右前安打、左中間二塁打。7回の第5打席で左越え三塁打を放ち、サイクル安打を達成。球宴では92年ヤクルト古田以来、2人目の快挙。新人での達成は、先頭打者本塁打とともに史上初。5打数5安打で98年中日川上以来、新人4人目のMVPを受賞。

▼リーグ新人最多安打記録更新 9月19日ヤクルト戦(甲子園)。初回の第1打席に右前安打を放ち、シーズン154安打で58年巨人長嶋のリーグ新人最多安打記録を更新。最終的にはシーズン159安打まで伸ばし、プロ野球新人歴代3位にランクイン。

▼盗塁王&新人特別賞 11月26日NPBアワーズで盗塁王(36盗塁)と新人特別賞を受賞。新人での盗塁王は2リーグ分立後、01年赤星以来、史上2人目。新人安打数も評価され、リーグ2年ぶりの新人特別賞に選ばれた。

▼近本が3000万円増の4500万円で契約更改。新人の昇給額は03年に入団した和田(ダイエー)の6500万円(1500万円→8000万円)が最高で、阪神では13年入団の藤浪の3000万円(1500万円→4500万円)に並ぶ最高のアップ額。野手では98年高橋(巨人)99年福留(中日)17年源田(西武)の2900万円増を上回り、史上最高の昇給額となった。

▽阪神谷本球団副社長兼本部長(近本について)「自覚を持ってやってくれた。新人ではありながら、レギュラーで出続けて、なおかつ体重も落とさず、体調もコントロールしてやってくれた。適正な評価をしたと思っています」