「ミスタータイガース」の掛布雅之氏(64)と田淵幸一氏(73)が、阪神の新助っ人で米通算92本塁打の左の大砲ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルスFA)に「広角打法のススメ」を説いた。

阪神競馬場で大阪・MBSラジオ「亀山つとむのスポーツマンデー!」の公開収録に参加。球団最多の通算349本塁打を誇る掛布氏は「甲子園の特徴を説明して、2月のキャンプから左方向を意識させるべき。バースのように左方向に打てるようになれば100本は打てる」と熱弁した。阪神の助っ人としては最多202本塁打を放った同じ左打者を例に挙げ、成功のカギを示した。

通算474本塁打の田淵氏は「最初はバースも打てなかったけど、阪急のブーマーが『引っ張らず逆方向に打てば40本軽く打てる』とアドバイスを送っていた」と裏話を披露。84年に3冠王を獲得したブーマーの「広角打法のススメ」が、バースの85、86年の3冠王を生んだ。ボーアにも「大先輩」の系譜を継承することを期待した。

阪神は今季12球団最低の538得点に終わっただけに、ボーアに対して矢野監督も「中心として取った選手。現状、一番4番に近い」と期待している。収録で掛布氏は「打ってもらわないと。甲子園が本拠地で浜風を敵に回すならいかに左方向に打つことができるか」と繰り返し、自身も経験した85年以来の日本一、「バース2世」の誕生を期待した。【只松憲】

◆来日1年目のバース 83年に阪神に入団したバースは、当時2人の外国人出場枠をアレン、ストローターと争った。同じ左打者のストローターが故障で退団し、定位置を確保。当初は外角への変化球を空振りするなど苦しんだが、安藤統男監督らの助言にも耳を傾け、広角に打ち始める。5月11日中日戦で、甲子園での初本塁打を含む1試合2本塁打をいずれも左翼に放って波に乗った。8月以降の38試合で14本塁打を量産。この年35本塁打を記録し、序盤戦の出遅れを大いに補った。なお日本球界通算本塁打は202本。右翼への93本と大差ない、71本を左翼に運んでいる。