横綱直伝の四股トレで先発ローテ入りだ! オリックスの3年目右腕、K-鈴木投手(25)が4日、東京・江戸川区の武蔵川部屋を訪れ、武蔵川光偉親方(48=第67代横綱・武蔵丸)から直々に四股を教わった。

熱気いっぱいの朝稽古が終わると、K-鈴木は土俵に上がった。大きく片足を上げて着地を繰り返す。素足で地面をつかむと「痛い!」と悲鳴を上げることも。「野球と全然違う筋肉を使った。股関節とか『あれ?』って。普段しない動きなので(日頃)使えてないんだなと感じました」。人生初体験の四股に目からウロコの連続だった。

投球に大事な下半身を強化すべく、関係者を介して入門が許可された今回の異色合同練習。右腕を見た武蔵川親方は「そこまで体は硬くないよ。ただ、腹筋が弱いね。(四股は)体全体の筋肉を使う。運動できない人にもベスト。全体の筋肉を使わないとバランスはよくならない」と指摘。この日は股関節回りの筋肉を重点的に鍛えた。「あとは自分でやること。普段は自分のルーティンがあると思う。四股はプラスで毎日やった方がいい。ここで終わらないようにしてケガしない体を作ってほしい」。幕内優勝12回。現役時代に若貴や曙と激闘を演じた親方が温かいエールを送った。

K-鈴木は「シーズンを通しての体力、力を出す動作を上げるのはここ(股関節)。連動して投げられる感覚がすごくあった。(球の)強さが変わる感覚が自分の中にある」と早くも手応え。今季の目標は「まずはAクラス」と力強く宣言した。5日も武蔵川部屋に入門。極意を学んで、野球の力に変える。【真柴健】

◆四股 力士が土俵に上がる際に行う準備運動のこと。腰、膝、足首などを強化する稽古。両足を開いて片足ずつ交互に上げ、強く着地させる。上半身は地面と垂直にしなければならない。

<球界の異色自主トレ>

◆雪かき 巨人松井は98年、一面の雪景色となった東京・ジャイアンツ球場へ登場。慶大・高橋由伸ら新人合同自主トレのためにと、自らスコップを手に雪かきを行った。雪国の石川県出身とあり、慣れた手つきで豪快に雪をかき続けた。

◆格闘技 03年、阪神下柳はプロレスラー桜庭和志とスパーリングトレを行った。関本も08年に、元K-1ジャパン王者のニコラス・ペタスの道場に入門。

◆スキー 楽天の山崎武は05年、福島・猪苗代で雪上自主トレ。雪上ダッシュでは、足場の悪い中をパートナーの戸叶と悪戦苦闘。合間には人生初のスキーにも挑戦した。澄んだ空気の中、下半身をいじめ抜いた。

◆カヌー 09年、ソフトバンク和田が挑戦。ウエットスーツにヘルメット姿、手にはオールを握った。国体出場歴のある地元指導者のもと約1時間半、宮崎市内の大淀川で体幹やバランス感覚を養った。

◆フットサル 14年、巨人長野が東京都内のフットサル場で、親交のある元日本代表でMLSバンクーバーMF小林大悟らとトレーニング。5対5のゲームで攻守に動き回り、また抜きやトリッキーなシュートも決めた。

◆武蔵川光偉(むさしがわ・みつひで)現役時代はのしこ名は武蔵丸光洋(むさしまる・こうよう)。1971年(昭46)5月2日生まれ、米国ハワイ・オアフ島出身。89年秋場所初土俵。91年九州場所で新入幕を果たし、99年名古屋場所で67代横綱に昇進した。03年九州場所中に引退。通算86場所で779勝294敗115休。幕内優勝12回。現役時代は192センチ、235キロ。得意技は突き、押し。引退後の13年に年寄名跡「武蔵川」を襲名し、武蔵川部屋を再興した。