所信表明だ。広島の新選手会長田中広輔内野手(30)が15日、広島・廿日市市の大野練習場で始まった合同自主トレに姿を見せた。

自主トレ先の沖縄から前日戻ってきたばかりで練習前の円陣であいさつすると、すぐに沖縄へとんぼ返り。往復約2500キロの移動には理由がある。そこに新選手会長としての強い思いがあった。

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ウオーミングアップ前の円陣で参加38選手の中心にいた田中広の姿は、練習が始まると消えていた。午前中には自主トレ場所の沖縄・恩納村へ向かった。前日14日に広島に戻り、滞在時間は24時間にも満たない。それでも新選手会長として、チームの合同自主トレ初日に駆けつける理由があった。「新人も入って、1年がスタートする日。みんなとたわいもない話もできますし、本当にいい顔をしていたので、それだけでも来たかいがありました」

往復約2500キロの強行軍が、ニューリーダーとしての所信表明だった。「誰もが見ていると思うので、しっかりした言動をとっていきたい」。円陣では「今年は一体感を持ってやっていこう」と伝えた。佐々岡新監督が掲げる新生広島のテーマでもある。昨季までのクールなスタイルからのモデルチェンジ。今季は投手との「飲みニケーション」で、投手陣と野手陣との協力態勢を強固にしていく。

沖縄へとんぼ返りした理由はもう1つある。昨年8月に「右膝半月板部分切除手術」を受けたこともあり、温暖な地での調整は大きなメリットがある。回復は順調で、右膝に違和感があった昨年よりも状態はいい。本人も「全然違う。走れていますし、トレーニングもできていますから、楽しみな部分もあります」と声をはずませた。

昨年末には二遊間でコンビを組んできた菊池涼が残留を決めた。「やっぱりキクがいるのといないのとでは違う。僕自身同級生で、ずっと二遊間でやってきたので、2人でもう1回、“タナキク”というのを全国のみなさんにしっかりとアピールできように、2人で一緒にチームを引っ張って活躍したい」。新選手会長としてだけでなく、プレーでもチームをけん引していく。グラウンドで再び輝くために、鉄人が帰ってきた。【前原淳】