ソフトバンク柳田悠岐外野手（31）が超人を仰天させた。練習試合の阪神戦（甲子園）に3番中堅で出場。浜風を切り裂いて右翼糸井嘉男の頭上を越す、推定130メートルの特大ソロをスタンド中段に運んだ。自主トレで師事する糸井が2ランを放った直後の1発。超人と呼ばれる師匠は「人の打球じゃない」とびっくりだ。昨秋手術を受けた右肘も万全、5月末の実戦再開後6戦3発と絶好調だ。

打った瞬間、それとわかる打球だった。4回無死。柳田は阪神西の内角低め直球をすくい上げた。甲子園名物、左打者泣かせの右翼から左翼に吹く浜風もなんのその。打球はすさまじい勢いであっという間に、最も深い右中間スタンドに吸い込まれていった。「ライナーでしっかり芯にあたったのでホームランになるかなと思いました。いいバッティングができたと思います」。推定130メートル、自画自賛の一打で虎の超人をも驚かせた。

阪神糸井には14年から自主トレで師事しており、親交が深い間柄だ。直前の3回に左翼ポール直撃の2ランを放っていた糸井は、弟子の一撃をぼうぜんと右翼の守備位置から見つめた。「えぐいな。打球追いかけててやっぱり、打球見てて、違う。甲子園で今日は浜風、結構強いのに。人の打球じゃない」と舌を巻いた。

柳田は常々「あの人はやばい。人間じゃない」と糸井を尊敬している。その師匠からの賛辞を伝え聞き「（糸井）嘉男さんがホームラン打ったんで、自分も打てて良かった。尊敬する大先輩なので。敵ですけど、お互いにホームラン打てて良かったです」と笑顔を見せた。この日は近距離で交流することはなかったが、試合後には「マンシュウ！」とボートの万舟券にたとえた独特の表現でお互いをたたえ合った。

昨秋受けた右肘手術の出遅れも心配なしだ。2月の春季キャンプはB組で過ごし、3月の実戦は2軍戦のみ。それでも今季初の1軍戦となった2日からの練習試合では4戦2発。5月末の紅白戦も合わせれば6戦3発と一気にペースを上げてきた。工藤監督も「さすがですね。あの高さであそこまで飛ばすというのはなかなかない。頼もしいですね」と絶賛。6・19開幕に向け、鷹の主砲が研ぎ澄まされてきた。【山本大地】

 

▼柳田のここまで

2日オリックス戦（京セラドーム大阪）　四球、遊ゴロ、四球、一失（2打数0安打0打点）

3日オリックス戦（京セラドーム大阪）　空振り三振、中二塁打、右本塁打、空振り三振（4打数2安打1打点）

4日オリックス戦（京セラドーム大阪）　四球、中前打、空振り三振（2打数1安打0打点）

5日阪神戦（甲子園）　左飛、中本塁打、空振り三振（3打数1安打1打点）