ソフトバンク柳田悠岐外野手(31)が、1発を含む3打点の活躍で首位楽天との6連戦先勝に貢献した。

2点を先制された直後の1回に左翼テラス席に同点の4号2ランを放つと、3-3の5回は中前へ決勝タイムリー。復帰先発した千賀のために「なんとかしたい」思いをバットに込めた。所沢、札幌と続いた長期遠征を終え、16日ぶりに戻った九州は甚大な豪雨災害に見舞われていた。九州を野球で元気づけるためにも、7月反攻を引っ張る。

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やっぱり「スイートホーム」は心地よい。今季初登板となったエース千賀がいきなり初回に2点を失った。思わぬ? ビハインドの展開を柳田の一振りで振り出しに戻した。1回1死一塁。柳田は初球から強振した。楽天先発弓削の134キロのカットボールを振り抜くと、大きな放物線を描いて左翼テラス席に舞い落ちた。同点の4号2ラン。「打った瞬間に入ると思いました」。バットを放り投げると、悠々とダイヤモンドを周回した。逆方向への1発は柳田の真骨頂でもある。高く舞い上がった打球にアーチを確信した。

7試合ぶりの本塁打だった。6月28日の西武戦(メットライフドーム)で3号を放つと、札幌での日本ハム6連戦はノーアーチに終わった。安打は生まれるが、スタンドインしない打撃に「飛距離が出ない…」と漏らしていた。「千賀が今季初めての登板だったので何とかしたいな、と思っていました」。3-3の同点で迎えた5回無死二塁では、「技」で貴重な一打を放った。弓削の内角寄りの141キロの直球を逆らわずに中前にはじき返した。「コンパクトなスイングで打ち返すことができた」。千賀に白星を届ける決勝タイムリーに白い歯がこぼれた。

チームは開幕ダッシュに失敗したが、これで7勝8敗(1分け)。16日ぶりに帰ってきた地元九州は豪雨に見舞われ、つらい七夕の夜となったが、前を向くしかない。「命が一番大事。野球をやるしかないんで。相手は首位のチームなんで何とか勝ちたいと思っていた」。人数制限付きながら、10日からは有観客となる。本拠地ペイペイドームでの豪快な打撃を生でファンに披露できる。チームはこの日の白星でペイペイドーム通算999勝となり、大台の1000勝にリーチをかけた。7月反攻へ、柳田のバットが、チームを引っ張る。【佐竹英治】