キャプテンが試合を決めた。日本ハム西川遥輝外野手(28)が5日、西武14回戦(札幌ドーム)の同点で迎えた8回2死満塁で、決勝の3点適時三塁打を放った。3番に座って以降、打率4割に迫る勢いで打ちまくる男が2安打3打点の活躍で、この日誕生日だった母を祝福。チームは2日ぶりに勝率を5割に戻した。

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絶好のチャンスを逃さなかった。西川は無我夢中で足を動かした。「越えてくれというふうに思って走ってました」。2-2の同点で迎えた8回2死満塁。3番手ギャレットの外寄り145キロのスプリットを振り抜いた。打球は左中間へ。追いかけた中堅手金子のグラブをはじく当たりは走者一掃となる3点適時三塁打。塁上でベンチに向かって右拳を握った。

同じようなシチュエーションで、今度はしっかり結果を出した。2日楽天戦で9回表に逆転を許した直後、2点を追う1死満塁で一ゴロ併殺打。悔しい思いをしていたが、この日は今季11度目の満塁機に初の長打となった。試合後の囲み取材中、自身が打った場面をハイライト映像で確認し「良かった。本当に良かった」と胸をなで下ろした。

声援が力になった。この日から左翼席に応援団が陣取り、攻撃の際、太鼓のたたく音が球場内に響いた。「本当に(応援が)あるのとないのとでは全然違いますし、太鼓の音が最後打球を押し込んでくれたんじゃないかと思う」と感謝を口にした。太鼓に後押しされた一撃は、この日誕生日だった母を祝福する決勝打。試合前「オカン誕生日おめでとう今日頑張るわ、大好きよ」とLINE(ライン)でメッセージを送り、その通り結果を残した。

3番に座ってから13試合で打率3割9分3厘、13打点と好調を維持している。これまでの1番とは違い得点圏での打席も増えているが「やることは本当に変わらない。でも、より打って出ようという気持ちはちょっと多いです」という。

栗山監督は「素晴らしかったですね。あれだけ必死に野球をやる姿というのが一番大事。そこに関しての信頼感は変わらない」と太鼓判を押した。チームは勝率5割に復帰し、シーズン残すはあと53試合。「疲れてますけど頑張ります」。信頼の厚いキャプテンがさらに引っ張っていく。【山崎純一】