阪神は20日、2月から始動する女子硬式野球クラブチーム「阪神タイガース Women(ウィメン)」の入団会見を行った。ユニホームも発表され、ホームゲームでは伝統のタテジマを着用する。女子プロ野球時代に「美人すぎる外野手」と称された、高塚南海(みなみ)外野手(24=埼玉アストライア)は、男子に負けないフルスイングで女子野球の魅力を伝えることを誓った。

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伝統のユニホームに袖を通し、高塚は喜びをかみしめた。「女子野球選手がこのユニホームを着ることを夢に見ることもできなかったんですけど、こうして自分が着ていることが本当に現実に起こっていることがすごいなと思います」。白地に黒のタテジマ。すぐに阪神と分かるデザインは、選手たちの要望で実現した。

女子プロ野球時代に「みなみ」の登録名で活躍した高塚は、幼少期に金本知憲氏や赤星憲広氏にあこがれた。フルスイングが持ち味のスラッガーに成長し、推定110メートル後半の特大本塁打を飛ばしたこともある。「毎年ホームラン5本を目標にやっていた。やっぱり、ホームランを数打って、アピールしていきたいと思います」。目指すは、ファンを魅了する虎の主軸だ。

打力をさらに磨くべく、昨オフは沖縄で西武山川の自主トレに参加。18&19年の本塁打王から、打球の飛ばし方や飛距離の出し方を学んだ。そして今オフは、昨年広島で4番も務めた松山に弟子入り。鹿児島で約2週間、練習をともにした。「ボールへの入り方だったり、ミート力の部分、トレーニング面とか体の使い方の部分を、すごく学ばせていただきました」。NPBの両主砲に教わった“飛ばしの極意”で、さらにパワーアップした。

「女子野球選手でも、男性と同じ球場で放り込めるっていうことを、伝えていければと思うので、パワーだったり技術面を磨き上げていきたい」。夢は甲子園での本塁打。「そこは目指していきたいと思います」。いつか聖地に立つ日を夢見て、鍛錬に励む。

2月からは三浦、浅野とともにタイガースアカデミーコーチに加入予定。「男子と同じユニホームを着ることが、新たに子どもたちの夢になっていくと思う」。野球少女だけでなく、多くの人をパワフルなプレーで魅了する。【磯綾乃】

 

◆高塚南海(たかつか・みなみ)1996年(平8)10月18日、滋賀県出身。京都両洋では女子硬式野球部に所属。卒業後は日本女子プロ野球リーグで6年間プレー。17年に最優秀新人賞、ベストナイン(DH)、18年に最多本塁打のタイトルを受賞。同リーグが開催した「美女9総選挙」で、2年連続ベスト3にランクイン。あこがれの選手はソフトバンク柳田。趣味はカフェ巡りやショッピングなど。右投げ右打ち、173センチ。

 

○…阪神OBで8年ぶりの古巣復帰となった野原祐也監督(36)は初の女子選手の指導に表情を引き締めた。12月の個人練習も視察し「想像していたよりいい打球打ちますし、コントロールめっちゃいいし、本当に驚かされることが多くて、いい動きしてるなというのが第一印象」と驚いた。今後はそれぞれの仕事と両立する選手たちをサポート。「体の疲れとかもあると思いますので、力を発揮できるようにコミュニケーションしていければ」と話した。

 

◆阪神タイガースWomenの今後の予定 2月からチーム活動を開始。兵庫県内の球場で毎週末に1回全体練習を行う。4月以降は各大会に参加予定。関西女子硬式野球連盟が主催するラッキートーナメント(5、6月)や全日本女子硬式野球選手権大会関西予選(6月)などへの参加を予定している。