伝統の一戦で初めて4番を務めた阪神佐藤輝明内野手(22)が、逆転を呼び込むHランプをともした。1点を追う4回に3番マルテのソロで同点。スタンドの興奮が冷めやらない中、近大の先輩で巨人先発畠の初球低め137キロカットボールを捉えた。体を沈め、払うようにとらえた低いライナーは、失速することなく中堅フェンスを直撃する二塁打。三進後、梅野の勝ち越し適時打で決勝のホームを踏んだ。

この二塁打は記録的な1打となった。「1本出て、それが点につながったんで、それが一番よかった」。阪神の新人が巨人戦で4番を務め、安打を記録したのは、1939年(昭14)の富松信彦以来、実に82年ぶり。1999試合目のGT戦で歴史の扉をこじ開けた。三塁の守りでも見せた。1点リードの8回2死一塁。巨人はエンドランを仕掛けてきたが、岡本和の強い打球を難なく捕球し、落ち着いて一塁送球し、投手陣をもり立てた。

東京ドームには1万3873人のファンが入った。三塁側には黄色い虎党の姿も多く、佐藤輝が打席に入った時の拍手は一際大きかった。4月22日、「6番右翼」だった前回の東京ドームから自己最長の17試合連続出塁。持ち味の1発だけでなく、チャンスメークの役割も果たし続けている。

15日は伝統の一戦が通算2000試合を数える。4番で迎える規格外ルーキーは「巨人は倒さないといけない相手だと思う。集中して連勝できるようにやっていきたい」と勝利を誓った。5月7日のDeNA戦以来、6戦ぶりの11号が飛び出せば早くもセ・リーグ全5球団制覇。セ本拠地6球場制覇も達成する。新人の左打者では、11発は93年巨人松井秀喜にも並ぶ。伝統の一戦で数々のアーチ、ドラマを演出してきたゴジラに負けじと、新怪物伝説をつくる。【石橋隆雄】

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