来日が遅れ、4月30日に1軍合流してから1カ月。ロッテの新助っ人が初めてお立ち台からファンに声を届けた。「アデイニー・エチェバリアと申します。パンテーラと呼んでいただきたい。この瞬間を待っていました」。スペイン語でクロヒョウを意味する、大リーグ時代からお気に入りのニックネーム。じっくり研いだ牙をここぞとむいた。

同点の5回2死満塁で内角高めを中堅右に落とす2点勝ち越し打。8回2死二、三塁では外角高め158キロを逆方向の右中間へスタンド・インさせた。来日1号3ラン含む初のマルチ安打は、同郷で旧知の仲であるマーティンの助言が効いていた。「最近、遠くに飛ばしたい気持ちが強すぎてスイングが遠回りしていた。小さく振れと言われたよ」。

6回に好守で併殺を完成させたように、売りは守備。9度の先発出場はいずれも7番以下で、スタメン9人中本塁打ゼロは3人だけだった。「早くゼロを1にしたかった」。それと、友と約束していた。「今日、彼から打ったら同じポーズをしてやるからな」。広島コルニエルは前日マーティンを三振に仕留めた後、ベンチに戻って麺をすするようなしぐさをしていた。ホームランの後、同じしぐさで“お返し”した。

和食など異国の地にまだ慣れてはいないが、今この時がうれしい。「イチローさんがメジャーで野球を学んだように、僕が日本で野球を学んでいるなんて興奮する。すべてをリスペクトしている」。米マーリンズで同僚だった憧れのスターの母国で、主役をさらった。【鎌田良美】

◆アデイニー・エチェバリア 1989年4月15日、キューバ生まれ。10年からブルージェイズのマイナーでプレーし、12年メジャーデビュー。13~16年はマーリンズの正遊撃手。18年はレイズ、パイレーツ、ヤンキースの3球団でプレー。メジャー通算922試合、778安打、37本塁打、打率2割5分3厘。今年ロッテに入団し、4月30日楽天戦で初出場。今季推定年俸1億円。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。

▽ロッテ・レアード(3回同点打) 2死だったし何とかしようと思った。バットが折れたけど、いいところに打球が飛んでくれてよかったよ。

▽ロッテ荻野(6回4号ソロ) 打ったのは多分シュートだと思います。点を取られた後だったので、何とか追加点を取ろうと思い切っていきました。

▽ロッテ美馬(6回2失点で5試合ぶり白星の3勝目) いろんな意味で風に助けられて、打線にも援護していただきました。