日本ハム万波中正外野手(21)が特大弾を放った。ロッテ10回戦(ZOZOマリン)の6回、一時勝ち越しとなる3号2ランを左中間最深部へ運んだ。試合は痛恨の引き分けで借金「12」を減らせなかったが、本塁打パフォーマンスも板についてきた3年目の大砲候補が自己最多の1試合3打点と躍動。プラス要素は11日につなげて、今度こそ今季初の4連勝を決める。

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みなぎるパワーが、あふれ出た。万波が醸し出すロマンが詰まった放物線だった。6回1死一塁。145キロのシュートをバットの真芯で捉えた。「打った時に、いったなと思いました」。推定飛距離135メートルの特大弾は左中間最深部まで飛んだ。相手外野陣も打球を追い切れないほど、規格外の弾道。「あれ、入ってないのかなって」と周囲のリアクションに戸惑いながらダイヤモンドを1周した。

さあ、パフォーマンスの時間だ。同僚からの祝福を受け終え、満を持して三塁側ベンチ横のテレビカメラに視線を送った。手を合わせて一礼し、正拳突き。この動きは…「そうです。(人気漫画の)HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)大好きなので」。同作品に登場する「ネテロ会長」が好きなキャラクターの1人。同キャラが修業で1日1万回、やり続けたのが万波が拝借したポーズ「感謝の正拳突き」だ。

1軍で本塁打を打ったら披露すると心に決め、プロ1号を放った6月13日DeNA戦(札幌ドーム)で初披露。この日は3度目の披露で「やっと(取材で)聞かれました」。笑顔の万波もネテロ会長のように日々の努力を積み重ねてポテンシャルが開花しつつある。

横浜高から入団して3年目。1軍定着へ向けて新たなモチベーションもできた。7日に今季限りでの現役引退を発表した「伝説の先輩」と表現した西武松坂とは面識がないが、可能なら「1打席でも立ちたい」と対戦を熱望した。実現するには、まず万波が1軍で「感謝の正拳突き」を多く繰り出すことが必須。慢心せず、やるべきことを尽くして前に進む。【木下大輔】