阪神二保旭投手(31)が、苦しみながら6回途中3失点で移籍初勝利をつかんだ。ウイニングボールをポケットに入れたお立ち台で「どうも、初めまして。二保旭です。こうしてチームが勝つことができて、ホント素直にうれしいです」と虎党へあいさつ。偶然にもプロ初勝利とプロ初セーブを挙げた球場で再び記念撮影に納まった。

デーゲームで巨人が勝ち、負ければ首位陥落となるマウンドを任された。課題の立ち上がりに2四球と適時打で先制点を許したが、1失点で粘った。「自分の状態がよくない中、点を取ってくれて楽に投げられた」。4回までに7点援護の打線に感謝した。

7月に中谷とのトレードでソフトバンクから移籍してきた。古巣では昨季も今季も1軍先発のバックアップ要員だったが、阪神のプロスカウト陣は今季の成長に目を止めた。昨秋から下半身主導の投球フォームに取り組んで直球に磨きをかけ、16年に受けた右肘手術前のように150キロを超す直球で押せるようになった。6日のエキシビションマッチ・オリックス戦では最速152キロを計測。この日は6回、4番鈴木誠に最速148キロを投げ込んだ。プロ13年目で初めて打席に立つセ・リーグへ。4回無死一塁では必死でプロ初犠打を決めた。

7月27日に九州国際大付(福岡)時代の恩師、若生(わこう)正広氏が70歳で亡くなった。「(この日の試合でも)助けてくれたのかなと思う部分もあった。少しは恩返しできたかな」。天から見守ってくれた恩師にささげる白星となった。試合後、矢野監督から「二保が来てくれてよかった」と言葉をかけられ、笑みがはじけた。【石橋隆雄】

▼今季7月にソフトバンクから交換トレードで入団した二保が移籍後初勝利を挙げた。シーズン中に国内移籍した投手の勝利は、02年に橋本が救援で1勝して以来。先発勝利となると、01年に谷中が6勝(救援で1勝)して以来、20年ぶりとなった。なお、シーズン中の阪神移籍後勝利数最多は、75年米田の8勝(すべて先発)。