広島一岡竜司投手(30)が、1回3人斬りで存在感を示した。紅白戦の紅組の2番手で4回に登板。すべてカットボールで、矢野、羽月、中村奨を4球でそれぞれ内野ゴロに料理した。前回10日の紅白戦では持丸に初球の直球を捉えられ、1発を浴びていただけに「前回は素直に行き過ぎた。真っすぐに見えるカットボールで“こっそり”活躍できたらと思って、“こっそり”終わったのでよかった」と独特の表現で喜んだ。

ニュースタイル投法で復活を目指している。3連覇時は勝ちパターンの一角を担っていたが、今季はプロ10年目で初の1軍登板0試合に終わった。「ケガの離脱ゼロの登板ゼロだったので、悔しさと寂しさ半々でした」。来季の巻き返しへ、これまでの直球で押し込むスタイルから、最近はベース盤の横幅をより意識した投球術に挑戦している。この日も実践し「右の外、左の内にしっかり投げ込めた」と手応えを口にした。

ハングリー精神むき出しで試合に臨んだ。秋季練習前に佐々岡監督が紅白戦を来春1軍キャンプのサバイバルレースと位置づけた。一岡、中田、中崎の名を挙げ「若い投手が多い中でも経験のある投手は必要になる。彼らも正念場」と話していた。紅白戦は午後1時開始だったが、一岡は「お昼ご飯も食べずに、正念場と思って頑張りました」と不敵な笑みを浮かべた。

佐々岡監督は横の変化を意識して投げていた一岡について「そういう球を混ぜて、(打者の)目線を変えられる」と評価した。中田は2戦連続で1回ゼロ封。前回は2回完全投球と好投した中崎は、1回2安打1失点だったが、指揮官は「(中崎は)前回も良くて、今日も球自体はよかった。フェニックス・リーグから良いものをみせてくれている。実績組には期待しています」と目を細めた。

4年ぶりのV奪回へ、経験豊富なリリーバーの復活は不可欠だ。一岡は「来年は1軍で投げたい。1登板でも多く試合に出て、目立たなくていいので、“こっそり”活躍できたら。それが理想です」とニヤリ。雪辱を果たすべく、アピールを続ける。【古財稜明】