オリックス小田裕也選手(32)が16日、大阪・舞洲の球団施設で契約更改交渉に臨み、300万円増の2400万円でサインした。

今季は主に代走や守備固めで起用され、自己最多の101試合に出場。「年間ケガなく試合に出られたのは良かったと思います」と振り返った。

バットで魅せたのは、11月12日のロッテとのクライマックスシリーズファイナルステージ第3戦(京セラドーム大阪)だった。1点を追う9回無死一、二塁。途中出場の小田がバントの構えを見せた。そこから一転、初球バスターで強攻。打球は一塁線を抜けた。ヒーローは両拳を突き上げ、歓喜のウオーターシャワーを浴びた。“サヨナラドロー”で日本シリーズ進出を決定させた。

シーズン中に途中出場の難しさを問うと「スタメンと変わらない準備だよ」とギラつく胸中を抑え、心を整えていた。

代走直前には狭いベンチ裏通路でジャンプを繰り返す。「準備できてなくて、迷惑かけるといけないから」。あの日、決めたバスターは、フリー打撃の初球で必ず敢行する。「誰でも、攻めたミスはある。ただ、僕らの立場は…。信頼を積み上げるのは大変だけど、失うのは一瞬だから…」。積み重ねた準備で、信頼を勝ち取ってきた。

とはいえ、ベンチスタートの毎日には満足していない。プロの世界は「試合に出てナンボ、活躍してナンボの世界」と表現し「頭から試合に出て活躍したい」と力を込める。

オリックスの外野陣には、主砲の吉田正、本塁打王のラオウ杉本、今季トップバッターとして先導してきた福田がいるが、キャラクターは皆、異なる。職人深さを増し、渋みある小田が割って入る。【真柴健】(金額は推定)