足で魅せた!! ヤクルト塩見泰隆外野手(28)が、今季1号となるランニングホームランを決め、08年以来、14年ぶりのチーム開幕3連勝を引き寄せた。7回に初球を右中間に運ぶと、中堅近本と右翼佐藤輝が捕球を試みてすれ違う間に一気に本塁を陥れた。6回には二盗に成功。トリプルスリーという大目標に掲げるリードオフマンが、持ち味の走力をいかんなく発揮した。

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3点リードの7回2死。塩見のスライス回転のかかった低い打球が右中間へ飛んだ。「頼むから落ちてくれと思って走ってたんですけど、落ちて抜けたのが見えたので」。スピードを緩めず一気に三塁に向かうと、腕をグルグルと回す三塁コーチャーの森岡コーチが視界に入った。さらにギアを上げ、最後はホームベースに華麗にスライディング。プロ初のランニング弾に「なかなかできることじゃないので、すごくうれしい」と素直に喜んだ。

15日に新型コロナ陽性判定を受けた山崎と濃厚接触の疑いのため自主隔離となった。チームに再合流したのは21日のオープン戦最終戦。打撃面では、まだしっくりこない部分もあるというが、足は健在。6回には中前打から今季初盗塁となる二盗を決め、山田の左前打で生還した。「足ってところでは濃厚接触関係なく万全の状態だったので。そこは自分の強みでもあるので、どんどんチームに貢献できたら」と胸を張った。

オフにはYouTubeチャンネル「走りの学校」を運営する和田賢一氏から、チームメートらとともに教えを受け、走力に磨きをかけた。ポイントは「地面に足をついたらすぐ離すってことです」とニヤリ。昨季は本拠の出ばやしに競馬関連の曲を使用。この日は敵地で“ファンファーレ”こそなかったが、最速スプリンターを決める高松宮記念(G1)が開催された日に、まるで合わせたかのように? 持ち味を発揮した。

昨シーズンは打率2割7分8厘、14本塁打、21盗塁でベストナインを獲得。今季はそれらをすべて上回るトリプルスリー達成を目標に掲げる。日本一連覇へ、“スプリンター塩見”が全速力で引っ張っていく。【鈴木正章】