あの日の悔しさを「反撃」の力へと変えた。

DeNA楠本泰史外野手(27)が、阪神のルーキー森木を打ち砕く2点適時二塁打を放ち、引導を渡した。1点リードの3回2死満塁、2-1からの4球目。「一番速いボールに合わせて、打てる球を打ちにいこうと。迷わずに直球のタイミングで」と149キロの速球を右翼に鋭くはじき返した。

打席へ向かう直前、メラメラと闘争心を燃えたぎらせた。2死二、三塁、阪神バッテリーは宮崎に対し、2ボールとした時点で申告敬遠を選択。次打者席からカウントが悪くなれば、自分との勝負を選ぶことは頭に置きながら「いざ、そうなって、絶対打ってやろうと。絶対はね返してやるという強い気持ち」で打席に立った。

楠本の背中に、この打席にかける思いの強さを感じたのは三浦監督だった。「もう背中を見て分かった。『よしっ!』って。気合が入っているのがわかった」。初球の落ちる球を豪快に空振り。2球連続でボールを見極め、打者有利のカウントで勝負を決めた。「見極めて、冷静になれたのがいい結果につながった」と指揮官をうならせた。

振り返れば、6月28日の阪神戦。スタメン出場しながら、序盤3回までに右翼の守備で2失策し、3回の2打席目に代打を送られた。「どこかにスキがなかったかと。スキを見せたら、取られるよってことを感じてほしかった」。三浦監督が采配で示したメッセージから74日。横浜スタジアム、阪神戦と同じシチュエーションで結果を残した。

チームは、リーグ優勝した98年以来となる横浜スタジアムでの阪神戦8連勝。3位阪神とのゲーム差を6に広げた。三浦監督は「上を見てやっていますし、当然、可能性があるからこそ、そこを目指して戦っています」。奇跡の逆転優勝へ、6・5ゲーム差で追う首位ヤクルトとの直接対決は残り6試合。11日からハマスタで絶対に負けられない2連戦に臨む。【久保賢吾】

▽DeNA牧(1回に先制の適時打) チャンスだったので、思い切って打ちにいきました。いい形になって良かったです。

▽DeNA桑原(ダメ押しの2点適時打を含む3安打2打点で勝利に貢献) もっと盛り上げられるように、たくさん塁に出られるように頑張ります。

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