<セ・CSファーストステージ:DeNA2-3阪神>◇第3戦◇10日◇横浜スタジアム

阪神が「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファーストステージ突破を決めた。1勝1敗で迎えたDeNAとの第3戦は、1点リードの9回に1死満塁の大ピンチ。ここで矢野燿大監督(53)が今季初めてマウンドに出向いて、湯浅京己投手(23)にゲキを飛ばし、新守護神は終戦寸前の併殺斬りで劇的勝利を決めた。

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新型コロナウイルスの影響で、2軍の鳴尾浜球場では無観客開催が続いた。湯浅も、誰の視線も浴びずに腕を振ってきた1人。ブレークの1年、明らかに変わった自身を取り巻く環境に何を思うのか。「注目されるのは、うれしいのはうれしいですよ。ネットニュースも見ます。でも、気にしない。自分の記事は『第三者の目』で見ますね。それを見たから何かが変わるわけじゃない」。囲まれる報道陣、声をかけてくれるファンの数は増えた。だが独立リーグで苦労も味わった23歳はいつも冷静だった。

それでも、ちょっとだけうれしかったことがある。オフの日に愛車を走らせて向かうのは、イチロー氏らが取り組んでいた初動負荷トレーニングができる施設だ。「そこに、『ザ阪神ファン』みたいなおじいちゃんがいるんです。去年まではなかったのに、今年になって初めて話しかけてくれました(笑い)」。“現金な”関西のおっちゃんにも、爽やかに笑顔を振りまく姿が想像できる。どれだけ活躍しても湯浅は湯浅のままだ。【阪神担当=中野椋】

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