シャンパンファイトの次はビールかけ! 阪神湯浅京己投手(23)が日刊スポーツインタビューでシーズン開幕へ本音を語り尽くした。WBCでは侍ジャパンの一員として3大会ぶりの世界一に貢献したが、「僕は燃え尽きていない」と強調。日本代表で同僚だったパドレス・ダルビッシュ、エンゼルス大谷の背中を追い、虎の守護神としてセーブ王、18年ぶりリーグ制覇を成し遂げる覚悟だ。【取材・構成=中野椋】

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燃え尽き症候群になっていないのか? そんな問いかけに対し、湯浅は「全然ないです」と首を横に振った。WBCでの激闘を経た右腕には今、さらなる向上心が湧いている。

「優勝した瞬間はうれしくて、みんなでシャンパンファイトもやって…。でもやっぱり、もっと投げたかったという気持ちもありました。優勝したからといって、燃え尽きている感情は一切出てこなかったです」

決勝は終盤にブルペン待機。ダルビッシュが登板した8回、いつでもバックアップできるように肩を作っていた。

「ダルさんの後に行くって、ヤバいけどすごいことだなと。ブルペンで肩を作りながらこみ上げてきました。緊張感もそうだし、やってやるぞって。めちゃくちゃ前のめりになっていました」

結果的に決勝での登板はなく、最後は大谷で完結。ローンデポパーク左翼後方のブルペンから歓喜の輪へ走った。大谷のように優勝の時、マウンドに立っていたい。あの景色を見て思いは当然、強くなった。

「だって、1人しか味わえないじゃないですか。それは思います。もっともっと準決勝、決勝の緊張感を味わいたい。だから3年後、もっとチームの主力として出たい気持ちが芽生えました」

憧れるのをやめましょう-。米国との決勝前、ナインに呼びかけた大谷の言葉を今、受け止めている。

「大谷さんとかダルさんには小さい時から憧れはありますし、好きなプロ野球選手と聞かれて答えていた方々。でも、あの言葉を聞いて、憧れより目標に変わりました。上に行くためにはそのレベルにならないと。一緒にやったからこそ目標にできると思いますし、近づけるように成長したいと思えました」

昨年からの疲労を心配する声がゼロではないことを知っている。ただ、湯浅の体を誰よりも知っているのは、他ならぬ湯浅自身だ。

「コンディションは別に、ここがマックスだと思っていない。キャンプで状態が良くてどうするん? って思っていたので。WBCに向けて上げていって、シーズンでずっと上がっていけばいい。だから全て想定内。逆に去年のこの時期に比べて、出力が上がってることはプラスです。WBCでも、もちろん全力で投げていましたけど、もっと行ける実感がある。不安は一切なくて、楽しみです」

開幕戦から虎の守護神を任される今季、目標は明確だ。ともに日の丸を背負った広島栗林、巨人大勢に負けるつもりはない。

「目標はセーブ王です。数字じゃない。2年連続でタイトルを取りたい。アメリカでシャンパンファイトを経験して、タイガースでビールかけをしたいという気持ちが強くなりました。タイガースで『アレ』に貢献できるように頑張りたいと思います」

まずは虎で胴上げ投手へ。「イメージはもう…ずっとしていますよ」。(続く)

◆湯浅のWBC 東京ドームの1次ラウンド開幕戦では中国戦の8回に登板し、3者連続空振り三振で大会デビュー。オーストラリア戦でも8回に登板して無失点。7回を抑えた大勢との“ガチアツリレー”を完成させた。米マイアミでは準決勝メキシコ戦に登板。1点リードを奪われた8回1死一、三塁でマウンドに上がると、左前打を浴び1点を献上したものの、左翼吉田の好返球もあり2点目は阻止。後の逆転サヨナラ勝利につなげた。「8回の男」として計3試合で2回2/3を投げ、2安打4奪三振無失点だった。