オリックスが、若武者・紅林弘太郎内野手(21)の劇的な一撃で楽天を土俵際でうっちゃった。

1点を追う9回1死1塁。紅林はいつもの登場曲と違う曲に送られて打席に入った。通常なら「ジャンボリミッキー!」かチャンス時には「紅」だが、なぜかこの日は人気アニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」のテーマ曲「ワイワイワールド」だった。先輩の宗からは試合前に「今日は楽しみにしとけよ」と言われていた。内緒で変更した曲は、紅林は聞いたことのない曲だったが「盛り上がったんでよかったと思います」とちゃっかり乗っかった。

カウント2-1から松井裕の4球目を捉えた打球は、あっという間に左翼席上段に飛び込む自身初の逆転サヨナラ2ラン。大喜びでベースを1周すると、ナインから水をかけられ、中嶋監督からは愛のヘッドロックをかけられた。顔をくしゃくしゃにして、紅林は「気持ちよかったです。打った瞬間行ったと思いました」と振り返った。

21歳になった今季、目標を21本塁打に定めた。だが、状態が上がらず、開幕1軍を外れた。4月半ばに昇格したが、ここまで打率2割3分程度と低迷。この日も試合前に指揮官から「手首を返さないように」などの指導を受けていた。試合後にも「本当なら代打だったぞ」と言われた。だからこそ「勝ちに貢献できてよかった」という言葉に実感がこもる。チームは3連勝で首位ロッテを追う。大砲候補が「Dr.スランプ」でスランプ脱出のきっかけをつかんだ。【高垣誠】

▽オリックス中嶋監督(サヨナラ2ランの紅林に)「期待はしたんですけどね。最高の仕事で終わりました。(成長ぶりは)バーンって来るのかと思ったけど、超スローペースでくるし。なかなか、我慢が必要な選手でございますよ」

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