期待のスラッガーが、初の1軍昇格即スタメン起用される。

阪神の高卒2年目、前川右京外野手(20)が29日、「7番指名打者」での出場が見込まれる30日の敵地西武戦に気合を入れた。

「もう、頑張るしかないなというのが一番です。緊張感もありますし、今までやってきたことを信じて、自分の打撃スタイルを変えずにしっかり挑んでいきたいと思います」。東京・立川市の宿舎への移動を前に鳴尾浜で対応。目を輝かせ、興奮気味に決意表明した。プロ2年目で初めて出場選手登録される。初1軍でいきなりのスタメン。燃えないはずがない。

1軍昇格は前日28日、和田2軍監督から伝えられた。「1度キャンプでけがしてしまっているので、信頼を取り戻すというか」。昨秋の高知・安芸キャンプでパワフルな打撃が就任間もない岡田監督の目に留まり、今春の1軍沖縄・宜野座キャンプメンバーに抜てきされた。だが、キャンプイン直前、先乗り自主トレ中に故障。左上肢コンディション不良で、2軍スタートを余儀なくされた。岡田監督からは「自分が遅れるだけや」と厳しいゲキを受けた。

右翼争いで新人森下や井上に先を越される中、必死に鳴尾浜から出直し、ようやくチャンスをつかんだ。「ずっと悔しい思いを持って試合にも練習にも取り組んできた。結果にこだわってやってきて、1軍に上げてもらえる機会がきました」。2軍戦は32試合に出場して打率3割6分、2本塁打15打点の好成績をマーク。ついに岡田監督にも1軍戦力として認められた。

キャンプから4カ月遅れでやってくる若き大砲候補に、指揮官の期待は大きい。「長打というよりも、1軍のピッチャーにどれぐらい対応できるかやな。大きいのを期待しているんじゃないよ。対応力やろな」。指揮官の思いは、前川にも伝わっていた。「気負いすぎずですけど結果もしっかり求めないといけない、勝負どころなので」。左打席から豪快な1発回答ができれば最高だ。いきなりの大勝負が20歳の若武者を待つ。【高垣誠】

◆前川右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県出身。智弁学園(奈良)では甲子園に、1年夏に津田学園(三重)の兄の夏輝(当時3年)と同時出場し、3年春夏も出て夏は同校過去最高の準優勝に貢献。高校通算37本塁打。21年ドラフト4位で阪神入団。176センチ、86キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸500万円。

【動く順位表】セ・リーグの貯金推移(23年開幕~交流戦前)はこちら>>