ソフトバンク藤井皓哉投手(26)が、「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦で、チーム単独トップの5勝目を挙げた。かつての本拠地マツダスタジアムで6回途中を5安打2失点。20年オフに広島から戦力外通告を受けた男が、古巣に恩返しの投球を見せた。チームは今季の交流戦初のカード勝ち越しを決めた。

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藤井がかつての本拠地で白星を手にした。「カープに限らずいつも勝ちたいと思っている。今日はなんとか勝てて良かったです」。謙虚に振り返ったが、マツダスタジアムを意識しないはずがない。「そうですね…カープの応援を聞くと懐かしい気持ちにはなりました」。右腕は穏やかな表情で汗をぬぐった。

20年オフに広島から戦力外通告を受けた。ホークスに移籍後初の古巣相手に先発。初回に1点を失い、3-1の6回には3四球を出して降板した。「毎回フォアボールからの失点が多い。今後の反省です」。後続は田浦と大津が最少失点でしのいだ。藤井は6回途中5安打2失点。苦しみながらもチーム単独トップの5勝目を手にした。

広島はプロ入りから6年過ごした第2の故郷。思い出はいいものばかりではない。「野球を始めたころは楽しかったのに、いつしか野球を職業にしか思えなくなっていた。広島を戦力外になる直前はそんな気持ちだった」。自分で自分を追い込み、広島を去った。

前日3日のこと。「現役ドラフト」でソフトバンクから阪神に移籍した大竹の好投を見た。藤井と大竹は、ともに和田毅の門下生。「大竹さんすごいわ」。6勝0敗、防御率0・71の左腕に刺激を受けた。「やっぱり環境が変われば、自分を変えられるチャンスがあるってことなんだなと」。広島、独立リーグ、ソフトバンクと移籍してきた藤井も、成長した姿を古巣に見せつけた。

藤井の粘投でチームは交流戦初のカード勝ち越しを決めた。藤本博史監督(59)は「打たれての満塁ならいいけどフォアボールの満塁はちょっとね。もっと自信を持っていい」。未来のエースとして期待するからこそ注文をつけた。【只松憲】

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