ヤクルト石川雅規投手(43)が1日で交流戦通算勝利数、単独1位に返り咲いた。「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦(ベルーナドーム)に先発。緩急を生かした熟練の技で5回2/3、3安打無失点。今季2勝目でチームの連敗を3で止め、最下位脱出をもたらした。前日にソフトバンク和田に交流戦通算勝利数で並ばれたが、すぐに通算28勝目を挙げ再び単独トップに立った。母校・青学大も富士大に勝ち、全日本大学選手権決勝進出。後輩たちへのエールともなる投球だった。

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勝利投手の権利を得ても、ベンチで石川は悔しそうだった。1-0の6回2死走者無しから、富士大OBの西武外崎に左前打を打たれ交代。「何とか抑えたかった。ランナーがいる場面で申し訳なかった」。1球で後続を断った大西に感謝した。

悔しさを隠さなかったが、打たれた安打は、わずか3本。この日も熟練の技が光った。多彩な変化球を低めに集め、ここぞでピュッと真っすぐ。130キロほどでも詰まらせた。時にクイック気味にも投げる。これぞ緩急のお手本で、得点圏に走者を背負ったのは2回だけ。2回1死二塁では、中村が渡部の三盗を阻止。5回1死二塁では、自らポンポンと後続を断った。「中村のリードもそうですし(3回に好守の)武岡の守備もそう。バックが本当に守ってくれたので、自分のリズム、テンポで投げられました」と言ったが、石川のテンポの良さが好守を生んだのは間違いない。

刺激をもらっていた。前日にソフトバンク和田に交流戦通算勝利数で並ばれた。1歳下の左腕の投球を中継で見て「もう全然僕とは比べものにならないぐらい、すごいボールを投げている。同世代の選手が少なくなってきている。和田投手の投球は、すごく励みになります」と率直に語った。

交流戦28勝目で、通算185勝目。大きな節目へ1歩1歩近づくが「1試合1試合、チームの勝利に貢献できるようにやるだけ」と、球界最年長選手の姿勢は変わらない。そんな投球が後輩たちへのエールにもなった。自身が勝った直後、神宮で青学大が決勝進出を決めた。「選手権の決勝はすごくプレッシャーもあると思うんですけど、思い切って青学らしい野球をやってもらえたら」。24年前の選手権優勝投手は、優しく願った。【古川真弥】

○…中村が攻守で石川をもり立てた。リードで引っ張り、2回1死二塁では渡部のスタートに慌てることなく三盗を阻止。打っては4回1死一、二塁で高橋から中前適時打を放った。「先制点が欲しかったですし、青木さんとサンタナが(四球で)つないでくれたので、振り負けないようにコンパクトに打ちました」と胸を張った。

▽ヤクルト高津監督(石川に)「連敗してて、チーム一番のベテランが、ああいうピッチングをして周りが受ける刺激は本当に意味のある、価値のある1勝だと思います。(交代は)1-0だったので長打も警戒しつつ、ランナーが1人出たら大西にと考えてました」

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