西武が大事な「6・28」に勝った。最終回を締めた増田達至投手(35)は、もちろん知っていた。

「スケジュールに僕、入れてるんで。慎二さんの命日って、入れてるんで」

森慎二さん(当時42)が多臓器不全で亡くなってから、6年が過ぎた。

少し上を見上げ、言葉を選ぶ。

「そうっすね、もう6年っすか。早いなーというのが正直で、なんかまだ、いるんじゃないかっていうのを少し思ってしまうところもあって、ほんと、急に沖縄で言われたんで」

目に感情がこもっていくように見えるのは、気のせいか。6年前のその日、沖縄での試合後に球団本部が首脳陣、選手、スタッフ全員を集め、森さんの訃報を明かした。「頭、真っ白になって。信じられない気持ちがまだ強いです」と増田は言う。

森さんは、リリーフという厳しい世界の先輩だ。

「打たれても、やっぱり次の日が来るんで。中継ぎが経験、多いんで、そういうふうに言っていただいたのがすごく印象に残っています」

教わっただけではない。6月1日、リリーフ経験の多い宮川哲投手(27)が先発白星を挙げた。翌日、宮川が明かした。

「増田さんに『もう、次始まってんねんぞ』って5秒に1回くらい言われました」

森さんに教わったことを、今は後輩に伝えていく年齢になった。この夜も先頭打者を出したが、切り替えて、日本ハムの怖い中軸を封じた。受け継がれた思いをつなげた。

今年も「6・28」に勝った。4年続けて勝った。でも、ウイニングボールはまだ増田の手元にない。この夜も。

「与座が投げました、ファンに。与座与座与座与座!!って言ってたんですけど、もう、ボーンって投げました、あいつ」

笑いながら話す。6・28のボールはまた来年以降も、チャンスがある。勝てたことが何よりだ。

「まぁ、また勝ちを、なんすかね、勝ちをこう、見てくれてると思うんで。良かったなと」

南の星空に思いをはせ、区切りながら言葉をつむいだ。【金子真仁】

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