ヤクルト高橋奎二投手(26)が4月21日巨人戦(神宮)以来となる3勝目(5敗)を挙げた。6回3安打1失点。4連敗からの待望の1勝に「本当に長く苦しく迷惑をかけていた。今日は6回まで投げられたので最低限のことはできたかな」と笑顔が漏れた。

侍ジャパンに選出されWBC世界一を経験するも、調整の難しさが響き本調子を取り戻せないでいた。昨季8勝の先発の柱が、約2カ月半もの間、勝ち星から遠ざかっていた。

WBCでの登板は2イニングのみ。それでもブルペンでスタンバイを続け、チームを支えた。「投げることがあれば全力で行くつもりだった。いつ名前が呼ばれてもいいように準備をしてた」。目立ちはしないが世界一を成し遂げる上で確実に、大事なピースだった。もちろん悔しさは残った。「結果的に投げることは出来なかった。3年後は自分が先発として投げられれば良いかなと」。

野球人生において経験したことのない3月を過ごした影響は、シーズン序盤の高橋を襲った。5月5日のDeNA戦(神宮)で3被弾を含む4回8安打6失点と炎上。翌6日に出場選手登録を抹消された。体調不良も重なり1カ月のファーム生活。「3月の疲れもあって、免疫力も下がっていたのかもしれない。本来のストレートもなかなか戻って来ない」と苦しい胸の内を明かしていた。

約1カ月ぶりの1軍マウンドとなった6月7日ロッテ戦(ZOZOマリン)でも4回2/3を投げ5安打3失点で敗戦投手に。伊藤投手コーチは「やっぱりストレートが戻って来ないね。彼本来の真っすぐは高めに来て空振り取ったり、ファウル打たせたりして、ゾーンで勝負できるピッチャー。その頻度が少ないよね。それに伴って変化球も良くないので、ピッチングにもなってないね」と話していた。

そこで取り入れた練習法がある。マウンドではなく平地から投げ、ホームベース手前でワンバウンドさせる投球。本来の投球が戻らない焦りから上半身ばかりで投げ急いでいたフォームを、しっかり下半身から連動させるための練習法で、伊藤コーチは「“リハビリ”ですよ。体の矯正には良い練習法」と説明した。

高橋自身も「やっぱり、真っすぐと変化球も徐々に良くなっている。いい傾向にはいってると思います」と笑顔が戻った。必死でつかんだ3勝目。シーズンはまだ折り返したばかりだ。【三須一紀】

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