8連敗、借金18と苦しんでいた西武が、ようやく7月の初白星を手にした。

12球団で最も遅く、球団史上4番目に遅い30勝到達となった。貢献したのは正捕手獲得へ励むプロ2年目の古賀悠斗捕手(23)。2試合連続の先制適時打で突破口を開いた。大雨で浸水被害もあった福岡・筑紫野市の出身。長崎生まれの隅田知一郎投手(23)との九州バッテリーで仕事を果たし、地元に力を届けた。

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あと1球で勝つ。松井監督が「みんなドキドキでしたよ」と振り返る9回2死一、三塁。マスクをかぶる古賀も、落ち着き払うなんてできない。「もう、連敗続いて、何とか勝ちたいって気持ちでしたね」。ライナーが二塁外崎のグラブに収まる。マスクを取り、涼しくなった顔に笑みを浮かべた。

前日まで8連敗、借金18。この日で44試合目のスタメンマスクだった。捕手の仕事を「面白いです。自分のサイン1つで試合の流れが変わってしまうのはプレッシャーもありますけど」と話す。だから当然、感じるものはあった。

「僅差じゃなくて大胆に負けたりしてたので…気にしてた部分はないとは言えないですね」

福岡大大濠(福岡)から東都の雄、中大へ進んだ。DeNA牧は1つ先輩、阪神森下は1つ後輩。「2部リーグに落ちる怖さは4年間、めちゃくちゃありました。10年間くらい中央と亜細亜はずっと1部にいる。先輩たちがずっとつないできた。そういう恥はかけないなと」。そう振り返ったことがある。

あまり最下位の経験はないものの、下は向けない。特に今は。福岡・筑紫野で育った。17年の九州豪雨では家族の車が被害を受け、今回の大雨でも市内に浸水があった。試合前には「いま家族と連絡を取っているところです」と心配そうにしながら「でも、頑張ります」と試合に集中した。少年時代から憧れた仕事に向き合い、ちゃんと成果を出した。その後、家族の無事は確認できた。

「去年チーム防御率がリーグ1位で、それを今年もやろうという目標の中で、捕手面で投手のいいところを引き出すことをアピールしたいです」

そう話して開幕し、苦しいことも多いけれど、古賀悠斗は懸命に今を頑張る。その姿に熱いものを感じる人がいる。【金子真仁】

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