首位阪神を猛追だ。広島が接戦をものにして、今季最長7連勝を飾った。

西川や菊池ら主力を欠きながら、新井監督の巧みな選手起用が光る。「今日も全員で勝ち取った勝利だったと思います」。指揮官は一丸勝利に、大きく胸を張った。

開幕戦以来86戦ぶり1番起用の小園が火付け役となった。1回に先頭で中前打を放つと、1死後に秋山の初球を捕手がファンブルした隙を突いて二塁を陥れた。直後に秋山の適時二塁打で先制のホームを踏んだ。1点差の6回は無死一塁から2戦連続4番起用の上本に犠打。1死満塁と好機を広げると、デビッドソンには代打松山を送り、犠飛で貴重な追加点を奪った。

試合前に対戦相手や自軍の選手の映像を見る監督は多いが、新井監督は映像でチェックはしない。コーチ陣やスコアラーへの信頼に加え「一瞬一瞬で変わる試合中の判断が遅れてしまう」。生き物のように変わる試合の中での勝負勘を重視。試合を重ねるごとに、その勝負勘がさえている。

目先の勝利だけでなく、先を見据えた一手も打った。2点リードの9回、今季負けなしの矢崎ではなく、栗林を投入。敗戦投手となった4月29日巨人戦以来のセーブシチュエーションで、中軸をわずか9球で料理した。新井監督は「勝負をかけるときは(矢崎にも)何連投も行ってもらわないといけない。そうなる前に疲労を分散させたい。栗林の状態も上がっているし、先のことも考えながら」とダブルストッパー起用を明言。新井監督が目指す野球に、選手がしっかり呼応。広島が勝ちながら絆を強くしている。【前原淳】

▽広島栗林(4月22日DeNA戦以来の8セーブ目)「めちゃめちゃ緊張しました。本当うれしかったですし、ファンの声援もあっての3者凡退だなと思いますし、いい形で終われて良かったなと思います」

【関連記事】広島ニュース一覧