スタメンマスクが60試合近くなっているとはいえ、西武古賀悠斗捕手(23)は毎日が必死だ。
だから知らない。
「いま1位っすか!? うれしいっす!」
チームの借金はまだ「10」とかさんでいるが、チーム防御率2・93はパ・リーグトップだ。
「去年(リーグ)防御率1位をとって、そこから絶対に自分がマスクをかぶる試合は最低でも3点以内っていうのを心がけてずっとやってて」
リードに苦しんだ時期もあったが、ようやく結果も付いてきた。こと、エース高橋とバッテリーを組んでは25イニング連続無失点。「今日も(高橋)光成さんは本調子ではなかったですけど、その中でゼロに抑えられたのは自分の中でも収穫になりました」。笑顔が蒼空ユニホームに映える。
捕手としてのミッションが大きい。でも、打てればなお良い。自身も十分に自覚し、打率2割5分を目標に努力している。
この日、試合前に動いた。栗山巧外野手(39)に教えをこいた。
「自分はキャッチャーですけど、栗山さんは常にバッターとしての立場で考えてらっしゃる人なので」
打席での考え方などをマンツーマンで尋ねた。「すごく貴重な時間で」。強打者といえる成績はまだ残せていないけれど、だからこそ首脳陣や先輩たちがしっかり目をかけてくれる。
1点リードの4回、左翼フェンス直撃の2点適時二塁打で、一気に流れを引き寄せた。
「いやぁ、打った瞬間、けっこう感触良かったんですけど…力不足です(笑い)」
教わって、すぐに結果を出す。もちろん師も喜ぶ。全てがうまくはいかないけれど、これは間違いなく松井監督がよく言うところの“成功体験”だ。少しずつ強くなる。【金子真仁】