ファームで調整中の中島卓也内野手(32)が衝撃のイースタン初アーチを放った。

344試合目、1271打席目での1発に球場は大盛り上がりだった。1軍で放った本塁打は、17年7月30日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)でのソロと、18年5月12日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)でのグランドスラムの2本のみだ。

この日は6回に遊撃の守備で途中出場。その裏の1死一、二塁で打席に入ると、巨人大江の5球目、122キロスライダーを右翼に運んだ。打球を見届けながら「鎌ケ谷のこの風なら行ったかな」とアーチストのように振り返った。大盛り上がりの周囲をよそに「みんなビックリしてましたけど、ホントたまたまなんで。ホームランを打ったからどうこうはないです」とプロ15年目の32歳は冷静だ。

衝撃を与えた後はいつもの職人芸も披露した。8回の第2打席では無死一塁で、プロ通算253犠打を誇る代名詞の犠打を決めた。延長10回の第3打席では2死一塁からコンパクトに中前打を放ってみせた。「バントもそうですし、塁に出ることが仕事ですから」と自らの役割を徹底した。

ケガの功名だった。5月に左腹斜筋を肉離れした影響で5月25日に登録抹消。しかしその期間に打撃を修正した。「バットのヘッドが寝ていたので、それを修正したら良い感じになった」と7月はイースタンで打率3割5分、8月も17日までで3割6分7厘と好調をキープする。この結果に「ケガをする前より良くなっている」と充実した表情を見せた。1軍で“中島卓也”がコールされる日は近い。【黒須亮】