雨にも虎にも負けず、広島床田寛樹投手(28)が今季2度目の完封で自身初の2桁10勝目を挙げた。雨で34分間の中断がありながら、最後まで首位の阪神打線に付け入る隙を与えなかった。8回まで球数115。新井監督から継投を打診されたが、9回の続投を志願。「今日はお前のゲームだから」と任された最終回、1人の走者も出さずに試合を締めた。球団の日本人左腕の2桁星は01年高橋以来22年ぶり。ハーラートップの巨人戸郷に並んだ。待望の左腕エースが大台突破で阪神に勝ち越した。

3回7失点した前回登板から上体の角度を修正したことで、右打者への内角球の精度が上がった。中盤6回まで許した安打はわずか2本。三塁も踏ませなかった。7回1死満塁のピンチを切り抜けると、最後までマウンドを守り抜いた。新井監督も「すごく丁寧な投球だった。この登板に懸ける気持ちは、見ていて立ち上がりからずっと感じました」と手放しでたたえた。

打っては3点差とした4回、ビーズリーから豪快な右越え二塁打で追加点をもぎとった。打者顔負けの豪快な打撃で今季初打点。「一番うれしかった」とニンマリだ。シーズン7安打、2二塁打はいずれも自己最多。今季は打撃での貢献も光る。【前原淳】

▽広島矢野(3回から出場で攻守に存在感)「自分にとってはチャンスなので。(三遊間深いゴロをアウトにした4回の守備は)自分にとっての見せ場。アウトにするつもりで投げた」

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