日本ハム上沢直之投手(29)が9回3安打無失点と快投し、5月17日西武戦(エスコンフィールド)以来今季2度目の完封で、チームトップの8勝目を挙げた。シーズン2度の完封は初めて2ケタ勝利を挙げた18年以来5年ぶり。前回登板まで4試合白星がなかったが、8月26日西武戦で完封勝利を挙げた伊藤大海投手(26)からアドバイスを受け改良したフォークをまじえ、首位オリックス打線を翻弄(ほんろう)した。

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緊迫した場面でも上沢の気持ちがなえることはなかった。3点リードで迎えた9回1死一塁、カウント3-2から投じた外角低めカットボールで、好打者森を二塁併殺打に打ち取った。次の頓宮に回せば同点弾を食らう可能性もある。「がっつかずに1アウトずつと。結果的には理想的な形だった」。7月28日以来、約1カ月ぶり勝利に「勝てなさすぎでしょ…久しぶりだったので、喜びもかなり大きいです」と目を細めた。

女房役の伏見には先制ソロと好リードのダブルで援護してもらった。勝利の瞬間は真っ先に抱き合って感謝。「バッターの状態を見ながら寅威さんの要求が僕に勇気をくれるような、安心感をくれるようなサインの出し方やしぐさをしてくれた」。5回2死一、三塁の場面では来田に内角ストレートを2球続け空振り三振に。「僕の中では変化球もあったのですが、あそこは寅威さんのサイン通りに」ピンチをしのいだ。

4試合白星がない中、後輩のアドバイスにも耳を傾け、修正を試みた。「大海(伊藤)のフォークが最近良かったので、まねして助言も聞きながら投げたら、そんなに落ちないんですが、いい感じで外れて」。8回1死三塁のピンチでは西野を、握り浅めの新フォークで投ゴロに打ち取り、三塁走者をアウトに。先輩のリード、後輩に学んだフォークが、勝負どころで生きた。

2年ぶりの2ケタ勝利まであと2勝、自己最多18年の165回1/3にも残り13イニングに迫った。「(イニング数の)キャリアハイは目指してきたところ。チームとしてもクライマックスに向け最後までひりひりする試合を続けていきたい」。渾身(こんしん)の114球を、次の快投につなげる。【永野高輔】

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