ロッテ最年長の荻野貴司外野手(37)が、ひと振りで試合を決めた。

1-3で迎えた7回2死一、三塁。楽天則本の初球。コンパクトに振り抜き、左翼席に今季1号3ランを放った。2万40000人を超えるファンが総立ちとなって歓喜する値千金の一発。「甘い球は初球から狙っていこうと思っていました。しっかりつないでくれたので、なんとかかえそうと。久しぶりにこんな歓声をもらえてうれしい」。真っ黒に日焼けした笑顔がはじけた。

9日にオリックス山本にノーヒットノーランを喫するなど2試合連続完封負けを含め、26イニング無得点、4連敗中だった。CS争いは大混戦となり、負ければ2位ソフトバンク、4位楽天で3チームが2ゲーム差以内となる状況だった。「打つ、打たないの結果を気にせず、しっかり切り替えて次のプレーに」の精神を背中で示す。初回も左翼線二塁打で出塁し、中村奨の右邪犠飛で生還。3戦ぶりの先制点を導き、雰囲気を変えた。試合前には昨年まで嵐や相葉雅紀のソロ曲を登場曲に使っていた縁で、相葉の始球式の捕手役を務めた。「会話はボールでしました」とキャッチボールの練習相手に。「良い運をもらえたかなと思います」と感謝した。

今季は4月に右もも裏、8月には左太もも裏肉離れで離脱。それでも不屈の魂で、はい上がってきた。「ここまで野球が出来ていることも幸せ。いつまで出来るか分からないと、頭の片隅に出てくるようになりました。支えてくれる方、使ってくださる監督。恵まれている」。今季楽天戦は4割2分9厘。次戦も荻野が先頭に立つ。【鎌田直秀】

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