熱さと笑いが入り交じった。巨人岡本和真内野手(27)とDeNA牧秀悟内野手(25)のセ界が誇る“4番対談”が実現した。昨年3月のWBCで共闘。岡本和は昨季41本塁打で本塁打王、牧は103打点で自身初タイトルの打点王を獲得した。ともに本塁打以上に重要視する「二塁打」への熱いトークから、2人の距離感がうかがえるゆるゆるトークまで盛りだくさん。今季も「オカマキ」の4番コンビがセ・リーグをけん引する。【取材・構成=久保賢吾、小早川宗一郎】

  ◇  ◇  ◇

シーズン最終戦となる昨年10月4日以来の対面。2人は仲良さそうに、にやけながら対面した。

岡本和 侍ジャパン、お疲れさま。優勝おめでとう!

牧 ありがとうございます!

岡本和はいつも観察しているからこそ、昨年11月に韓国とのアジアCS決勝で牧が放ったホームランに、シーズン中との違いを感じていた。

岡本和 いつもと違う感じの…。ちょっと手を離してた。これはもう、今年やばいんじゃないですか?

牧 いやいや、全然です。変な感じでしたよね。

2人の初対面は21年シーズンだった。

牧 あいさつに行きました。1年目に会ったときは見たまんまの優しい、打撃は優しくないですけど…。

岡本和 優しいすよ。良いところで全然打たへん。

牧 え、え…!(困惑)

岡本和 はっはっは(笑い)

「理想の4番」の問いに、岡本和が食い気味に言った。

岡本和 僕はね、牧くんみたいな打者になりたい。

牧 いやいや、ちょっと待って下さい(笑い)

岡本和 いや僕ね、二塁打を多くしたくて。去年それを目標に持ってシーズンに入った。(牧が)ずっと35二塁打以上、打ってると記事で拝見させて頂いて。

牧 めっちゃ、見てるっすね(照れ笑い)

岡本和 20本塁打35二塁打以上を続けている。二塁打を30本以上ってなかなか打てないからすごいなと。

NPB史上初の新人から3シーズン連続30二塁打超えを放った牧を称賛した。その裏には、二塁打に重きを置く思考がある。岡本和が30二塁打を達成したのは、昨季が初だった。

岡本和 二塁打ってホームランよりもダメージあると思ってる。ホームランって1点は入りますけど、そこで終わるじゃないですか。1点は痛いけど、投手も諦めつけられる、切り替えられると思うんですよ。でも先頭で二塁打いかれたら、走者をためられるかもしれない。それがDeNA打線のつながりというか、強さの秘密なんじゃないかなと思ってます。

牧 一緒ですね。個人としてはホームランより二塁打の方が打てたらうれしい。チャンス作れますし、自分が相手だったらホームランよりもやっぱり嫌です。

岡本和 守る側もランナーいない方が楽なんで、1点入っても。得点圏の二塁に行かれたら「うわー」って思いますし。

牧 雰囲気もチャンステーマとか流れるじゃないですか。それも結構、嫌ですね。

共通する「二塁打」への価値観。今度は牧へ、6年連続30本塁打を放った岡本和への質問を尋ねると、すかさず岡本和が食い気味に遮った。

岡本和 いや、いいっすよ。だって(牧は)ずっとハイアベレージですし、20本塁打以上、35二塁打以上打ってる。そっちの方が価値あるんですよ。

牧 ちょっと待って。え、え、え?

岡本和 いや、マジマジ。だから何もない。僕が言うことないっすよ。

リスペクトし合う存在だからこそ、打撃フォームについて意見交換し、参考にする。

牧 調子悪くなると、ずっと和真さんみてます。結構(テイクバックを)深くとるじゃないですか。あれはマネできないので、すごいですね。ずっと見てて。

岡本和 僕は逆っす。(牧はバットが背中側に)入らないのが良いなと。ブレないじゃないですか。うらやましい。あと、タイミングをずっと大きくとってる。すごいですよね。めっちゃ、見てますもん。ネクストの素振りから見てる。

牧 そんなわけないじゃないですか(笑い)

岡本和 ファーストから見えるから。間を作った素振りしてるときは危ない。

良き理解者であり、ライバルを目の前に新年の誓いを立てた。

岡本和 お互いケガをしないで、また頑張るので、争えるように頑張ります。

牧 自分も、今年もまた勝てるように頑張ります。

24年シーズンも、2人の4番が火花を散らす。