阪神近本光司外野手(29)が、岡田彰布監督(66)との1年を語り尽くした。元阪神、ロッテの鳥谷敬氏(42=日刊スポーツ評論家)と初対談。選手だからこそ感じる指揮官への思いを明かした。【取材・構成=中野椋、佐井陽介】

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鳥谷氏 1年やってみて、岡田監督のイメージはどんな感じかな?

近本 選手だけじゃなくコーチも、メディアもそうですけど、岡田さんを見るようになったんじゃないかなって思います。

鳥谷氏 臨時コーチに行かせてもらった時も(※1)、例えば、岡田さんがブルペンにいる時と戻った時と、ちょっとした空気感の変化があって。自分もいろんな監督とやってきたけど、その空気感の変化ってあんまり出せないよね。「あっ、岡田さん、このフィールドの中にいるんだな」って分かる。一番分かりやすいのはコーチ陣が…。

近本 ピリッてなる(笑い)。アップ中ならトレーナーがピリッとします。

鳥谷氏 絶妙な距離感で見てるからね。外野なのか後ろにいるのか、あっベンチにいるぞ、とか。

近本 ベンチでめっちゃ言ってるらしいんです。僕、外野だから何を言っているかは分からないけど「絶対何か言ってる」って内野の人はみんな言うので。

鳥谷氏 でも、全部独り言らしいね。

近本 みたいですね。僕も今までは監督が何を言ってるかとか、コーチがどう言ってるかなとか聞きたかったので、近くに座っていて。でも岡田さんになって試合中、席離したんですよ。プレーに集中できないなと思って(笑い)。でも聞こえるっす。何か言ってるな、くらいは。

鳥谷氏 ベンチの中でも聞こえてるんだ。

近本 「あっ、今日、監督やばいな」みたいなのは、選手もみんな分かってますね。

鳥谷氏 監督といえば、DeNAの京田選手がブロックして抗議したことで、その後の雰囲気が変わったとも聞くけど(※2)。

近本 監督は冷静やったなと思いましたけどね、めちゃめちゃ。「時間計っとけ」って言って。なんで時間計ってるんだろうと思ったら時間制限がある。5分間っていうのも「俺がつくった」と言っていて。(選手を)ダグアウトに引っ込めるのも退場になるからって、俺がつくったって。ああ、けっこう冷静やなって。

鳥谷氏 そんな話をしていたんだね。

※1…鳥谷氏は昨年2月の沖縄・宜野座キャンプで3日間臨時コーチとして指導。守備力向上へ選手たちと向き合った。

※2…昨年8月18日のDeNA戦で熊谷が二盗を試みた際にDeNA京田の足が二塁ベースをふさぐ形となり、セーフ判定がDeNAリクエストでアウトになった。これに岡田監督が猛抗議し、日本野球機構(NPB)が塁のブロッキングに関するルール運用変更を決めた。

◆近本光司(ちかもと・こうじ)1994年(平6)11月9日生まれ、兵庫・淡路市出身。社-関学大-大阪ガスを経て18年ドラフト1位で阪神入団。プロ1年目にセ・リーグ新人最多記録の159安打。盗塁王4度、最多安打1度、ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞3度。21年から3年間選手会長を務める。昨年の日本シリーズではMVP。171センチ、71キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸3億2000万円。

◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日生まれ、東京都出身。聖望学園3年夏に甲子園出場。早大2年春に東京6大学史上最速タイで3冠王。03年ドラフト自由枠で阪神入団。1939試合連続出場はプロ野球2位、17年には通算2000安打を達成。20年3月にロッテ移籍。21年限りで現役引退。13年WBC日本代表。ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞5度。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。

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