西武ドラフト1位の武内夏暉投手(22=国学院大)がついにベールを脱ぐ。開幕ローテーション入りを目標に掲げる左腕は、宮崎・南郷で行われている春季キャンプ、23日の紅白戦で初めての実戦登板を見込んでいる。「今のところ、順調に来ています。次は紅白戦」と気合十分だ。

着実にステップを踏んできた。キャンプ2日目からブルペン入りし、18日には初めて打撃投手を務めた。蛭間らを相手に、打撃ケージの中からほとんど打球を前に飛ばすことを許さず、安打性の当たりはなかった。マウンド上で一切表情を崩さないことが特徴の1つで、淡々と投球に向かう姿は、打者に心の内を見せないという気持ちの表れにも見て取れる。

完成度の高さはレジェンドもうなる。第2クールの11日から4日間、臨時投手コーチを務めた日米通算170勝の球団OB松坂大輔氏(43)は驚きを隠せない様子で、弱点について「ないですね。現時点ではないんじゃないんですか。僕はあのままいってほしいと思う」と言及。「投げ方も体全体が大きな弓のように見えるというか、全体がしなっている感じ」と熱い視線を送った。

注目されていることは間違いない。第1クール2日目の7日、キャンプを視察に訪れた侍ジャパン井端弘和監督(48)は「学生時代から見ていますけど、学生時代より大きくなったのが第一印象」と口にした。11月に行われるプレミア12へ向けた戦力として「十分ある。1年目を終わって、WBCや五輪に入っている選手はいる。1年目だからとかはなくて、いいボールを投げていれば呼びたい」と口にした。

武内は最速153キロの直球にカーブやスライダー、チェンジアップ、ツーシームなどを使い、内角と外角にボールを集めて抑えるのが持ち味だ。実戦を前に「もう一段階、低めのコントロールは上げていきたい」と足元を見つめる。「順調にきているのかな」と評する松井監督ら首脳陣に“デビュー戦”で本来の投球ができれば、ローテーション入りはぐっと近づいてくる。【山崎純一】