パ・リーグ現役最年長選手が「松坂超え」の誓いを立てた。ソフトバンク和田毅投手が21日、キャンプ地の宮崎で43歳の誕生日を迎えた。盟友松坂大輔氏(43)の日米通算170勝まであと7勝。「抜きたい」と世代NO・1勝利を見据えた。松坂超えは昨季と同じ8勝で達成できるが、さらに上を行く目標に8年ぶりの2桁勝利を設定。ホークス最年長登板など多くの記録更新がかかる24年も、大ベテランが健在を示す。

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43歳になっても、パ・リーグの現役最年長選手が歩みを止めることはない。この日、誕生日を迎えた「松坂世代」最後の現役戦士で知られるベテラン和田が、新たな高みを見据えた。ここまで日米通算163勝。目指すは世代最多勝利だ。

「目の前に(松坂)大輔の170勝がある。自分は抜けるチャンスがあるので、『抜きたい』という単純な気持ちです」

和田が浜田(島根)、松坂が横浜(神奈川)でともに甲子園に出場した高校時代から、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。ただし、当時「平成の怪物」と騒がれた同い年の右腕は、雲の上の存在だったという。だが、早大を経て4年後に同じプロの土俵に上がり、ともにエース格としてチームの優勝に貢献。さらにメジャーにも挑戦し、松坂氏の日米通算170勝にあと7勝で並ぶところまできた。今も親交の深い松坂氏が21年に引退した時は、「僕の分まで投げてほしい」と背中を押された。戦友の思いも胸に秘めるからこそ「松坂超え」の8勝を意識し、その上を行く8年ぶりの2桁勝利を目標に定めた。

「自分がそれ(昨季の8勝)以上の結果を出さないと、チームとしても(順位が)良い位置にいれない可能性もある。昨年の自分の成績は超えたい」

プロ22年目の今季は早くも小久保監督が開幕ローテ内定を公表。キャンプでは5度ブルペン入りし、17日には100球超えの熱投を見せるなど衰えを感じさせない。「状態も上がっている」と順調そのものだ。

長寿継続へ念入りな体のケアを怠らない。「体の変化は年を追うごとに感じる。健康には気をつけています」。睡眠にもこだわりがあり、コンディショニングサポート契約をしている「株式会社TENTIAL(テンシャル)」製品の「リカバリーウエア」を愛用。疲労回復と快適な眠りに特化したウエアの効果を実感している。キャンプ中は午後11時に就寝し、午前6時に起床。規則正しい生活リズムで心身を整えている。

この日の宮崎は和田フィーバーになった。大勢の鷹党から「和田選手~ おめでとうございます!」とプレゼントとともに祝福の声が飛んだ。「野球選手である以上はキャンプ地で(誕生日を)迎えるんだろうなと。こういう風に祝っていただけると、まだ野球をやれてるんだなと実感しますね」。決意新たに最前線で投げ続ける。【佐藤究】

 

43歳の和田が狙える今季の記録

◆登板 43歳シーズンで公式戦に投げれば、ホークス初。42歳の今井雄太郎(91年に10試合)を上回る。

◆開幕投手 43歳1カ月で務めれば、NPB最年長。42歳7カ月の98年大野豊(広島)を超える。

◆40代勝利数 現在20勝。今季初勝利を挙げれば21勝となり、下柳剛(阪神)黒田博樹(広島)と並び史上4位となる。なお、最多は山本昌(中日)の40勝。

◆規定投球回 過去の最年長は97年に大野豊(広島)が42歳で記録。同年の大野は最年長防御率(2・85)のタイトルも獲得した。

◆2桁勝利 過去最年長は43歳シーズンの山本昌が08年に挙げた11勝。和田が2桁勝利すれば最年長タイ。

<ソフトバンクの先発候補>

◎…有原

◎…和田

○…モイネロ

○…東浜

○…石川

○…スチュワート

▲…大関

▲…板東

▲…大津

▲…松本晴

▲…笠谷

▲…田上

 

◎…内定、○…有力、▲…候補