阪神岡田彰布監督(66)が、虎の監督通算勝利でよっさんに王手だ。今季の甲子園初戦を制し、阪神監督通算勝利数は483。10日にも、初代日本一監督の吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)が挙げた歴代2位の484勝に並ぶ。「本当、久しぶりでね。やっぱり、やっと帰ってきたなあって感じですね」。戦い慣れた聖地での24年の1勝目をかみしめた。

昨季日本一に輝いた「岡田野球」を象徴するような一戦だった。5回の先制は8番木浪から。広島床田のスライダーを右翼へ運ぶと、村上が初球で犠打を決めて近本の決勝打につなげた。「8番からの打順で、村上も1球でバント決めて、やっぱり流れが良かったですよね。ほんとワンチャンスですね、やっぱりね」。昨年打率2割6分7厘、41打点を挙げ「恐怖の8番」として躍動した男からチャンスメーク。これまで何度も得点を奪った攻撃の形を甲子園の初戦で体現した。

先発村上も粘り、回を追うごとに安定感を増して今季初勝利をつかんだ。「6連戦の頭ということでね、当然相手も、いいピッチャー当たると思うんですけど、そこでね、勝ちきるというのはすごい大きいですね」。床田との投げ合いを制した昨季のMVPを頼もしげに見つめた。

この日は、甲子園を訪れた吉田氏から激励を受けた。現役時代に選手と監督として戦い、初の日本一を分かち合った間柄。ベンチ内で話し込むなど、力を授かっての広島戦だった。

だが、満足はしていない。9安打で1得点の打線に注文を忘れなかった。「まだ打つ方もなかなかタイムリーとか、つながりもないんだけど、なんとかみんなでしのいで。初戦を取ったので、勝ち越せるようにやっていきたいですね」。甲子園でよっさん超えの3連勝を果たせば、単独2位に躍り出る。まずは10日、恩師に並んで貯金生活に入る。【磯綾乃】

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