甲子園の24年開幕投手を任された阪神村上頌樹投手(25)が、堂々の快投で今季初勝利をつかんだ。聖地での今季初戦。超満員の虎党が視線を注ぐ中、広島打線を圧倒した。

「ファンの皆さんもたくさん来ていたので。勝ちたいなと思って(マウンドに)上がりました」

序盤こそ「硬さもあった」というが、すぐに落ち着いた。100キロ前後のスローカーブも織り交ぜながら、打者を翻弄(ほんろう)。4回先頭の矢野には11球粘られたが、最後は104キロカーブで見逃し三振に仕留めた。

「速い球と緩い球というのは、いろいろ分けながら投げていたので。そこらへんが、うまくハマったのかなと思います」

終わってみれば、7回を2安打8奪三振で無失点。昨季からの甲子園での先発は、CSを含めて9試合連続QS(6回以上自責3以下)の好相性だ。

お立ち台には兵庫・淡路島の先輩近本とともに上がった。村上にとっては、帰郷の度に大きさを実感させられる先輩だ。昨年末、セ・リーグMVPの勲章を引っさげ、故郷へ凱旋(がいせん)。2年前までなら、近本が圧倒的人気。今年こそは俺も…。ひそかに期待していたが、甘かった。

「子どもたちはやっぱり『近本さんがいい!』と…(笑い)。活躍し続けないと、僕のことは忘れられてしまいますね」

“一発屋”では終わらない-。不動の1番打者の絶大な存在感が、そう思わせてくれた。この日も初回は中堅近本のビッグプレーに助けられ、自らが犠打を決めた直後の先制打で勝利を運んでくれた。

「あそこがツーベースとアウトでは全然違うので。本当に助けられましたし、あそこ(のプレー)で無失点に抑えることができたのかなと思います」

前回2日のDeNA戦は3回5失点で降板。今季2戦目で、即不安を払拭した。勝ち投手村上、勝利打点近本。今季も「淡路島コンビ」健在を示す甲子園1勝目になった。

「自分に勝ちがつくというよりチームが勝ったのが一番。そこで貢献できたのがよかった」。大事な週頭を任された新火曜日の男。背番号41が白星量産体制に入る。【波部俊之介】

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